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中国で日本人親子の刺傷事件が発生!駐在することになったら現地の治安は?

学び

中国の治安は?

インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。

そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、中国のビジネス環境について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。

日本人親子が刃物で襲われる事件が発生

多くの日本企業が中国に進出し、今日でも10万人の日本人が中国に在留する中、上海にも近い江蘇省の蘇州で2024年6月24日、日本人親子が中国人の男に刃物で襲われる事件が発生した。

蘇州にある日本人学校のスクールバスが下校中の子どもたちを乗せてバス停に着いた際、迎えに来ていた日本人の母親と一緒にいた子どもが見知らぬ中国人の男に刃物で切りつけられ、病院で手当を受けた。幸いにも2人の命に別状はないものの、スクールバスに乗車していた中国人の女性がかばおうとして刺され、女性はその後、亡くなってしまった。

容疑者の男は拘束されて取り調べを受けているが、犯行動機など詳しいことはわかっていない。今回の事件を受け、北京にある日本大使館は、各地の公園や学校など人の集まる場所で刺傷事件が起きているとして、在留邦人に外出時の注意を呼び掛けている。

中国の治安が特段悪いわけではない

若いビジネスパーソンの中には、今後、会社から北京や上海など中国駐在の辞令を受け取る人もいるかもしれないが、こういった事件を耳にすれば中国に行きたくないと思うのが自然な流れだろう。ここでは、そういう人向けにアドバイスをしたい。

まず、今回の事件によって中国で日本人を狙った凶悪犯罪が増えるとは言い切れない。今回の事件に対しては、現地市民の間でも日本人に申し訳ないという声も聞かれるうえ、犯人が日本人を狙って犯罪に及んだとの報告は出ておらず、政治的な動機はないと考えられるからだ。

さらに、中国政府が市民社会への監視の目を強化していることもあるが、中国国内の治安は決して悪いわけではなく、日本人が特段生活しにくいということもないだろう。筆者は過去に幾度も中国各地に仕事で出張したことがあるが、体感的に治安が悪いと感じたことはない(男女によっても違うかもしれないが)。外務省の危険情報も2024年7月時点で、新疆ウイグル自治区とチベット自治区を除いて出されていない。

日中間には常にリスクもある

しかし、日本と中国との間には、両国が領有権を争う尖閣諸島や台湾など多くの問題もあり、ここで緊張が激化すれば中国市民の日本への印象も悪くなる可能性が常にあり、そうなれば、中国に在留する日本人は緊張感が漂う中での生活を余儀なくされるだろう。

2012年に中国で反日デモが全土に拡大した際、北京や広州に駐在していた筆者の友人たちは、日本語を絶対に話さないなど、自分の身を自分で守る行動を意識したという。中国国内の治安は悪くないが、日中の間には、在中邦人の生活環境を一気に変える恐れのあるリスクが常に存在しているということを認識するべきだろう。

[文/ピエール・パパン]

フランスのパリやカンヌなどに留学し、フランスやその他の国々を旅し、ライティング活動を行っている。

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