「自分が手伝わなければ、お店が回らない」副業が原因で本業のチャンスを逃した20代女性の後悔!
副業ブームが続く中、「自分も何かチャレンジしてみよう」と模索している人も多いのではないでしょうか。ただ、うまくいくかどうかはヤル気や技術・才能だけでなく、自分の性格や考え方によっても大きく変わってくるかもしれません。
今回は、「副業が原因で本業のチャンスを逃し、後悔している」という20代の女性、堀田美玲さんに話を聞きました。
働き方改革で残業がゼロになり飲食店でWワーク
堀田さんは、新商品を企画する部署で正社員として働いていましたが、働き方改革の影響で残業が激減。そのことで、将来への不安が芽生えたそうです。
「2020年(大手企業は2019年)4月1日からスタートした働き方改革の波に乗って、私が働いている会社でも月の残業は30時間未満となりました。しかも、残業ができるのはプロジェクトリーダーに選ばれた人など、特別な人ばかり」
堀田さんのように役職がなく、各プロジェクトの主要メンバーでもない一般社員の残業は、ゼロに近い状態になっていたのです。そのため、堀田さんが高校卒業後に入社した2017年の総支給額と比較しても給料が低くなっていました。
「基本給が安いので、ベースアップはしていても、入社した頃と比べて月々平均3万円近くも給料が減少。つみたてNISAや貯金だけでは将来が不安だと感じ、副業を始めることにしました。会社近くの飲食店で働く、いわゆるWワークです」
面接では気さくな店長に大歓迎され、早くも翌日から働くことになったといいます。真面目な堀田さんは、面接時に「いまはほとんど定時で帰宅しているが、役職が付いたりプロジェクトリーダーに指名されたりすると残業が増えること」などを細かく相談。
「働けるのも週2~3日で、仕事帰りの平日のみだと伝えました。飲食店のほうはあくまでも副業で、会社が休みの土日祝祭日はしっかりと休む予定だったからです。店長はニコニコしながら大きくうなずき、『まったく問題ないよ』と言ってくれました」
翌日、仕事帰りにさっそく飲食店へ。それから2週間ほどは、人のよさそうなスタッフが仕事を教えてくれました。ほかには、面接をしてくれた店長と社員だという男性が1名。堀田さんを含む計4名で店を回しているという状況でした。
「自分が手伝わなければ、お店が回らない」
「でも3週間目ぐらいから、私に仕事を教えてくれていた人のよさそうなスタッフの姿を見かけなくなったのです。そして、まだ仕事もうろ覚えなのに『明日、どうしても人がいないから入れないかな?』と打診されました」
多く出勤すれば仕事を早く覚えられると考え承諾すると、「よかった。すごく助かる!」と感謝され、翌日に仕事を終えたあとも「本当に助かった。ありがとう!」「仕事も完璧だった。まだ3週間とは思えない」と絶賛の嵐。
「いままの人生で経験したことがないオーバーリアクションで褒めてもらい、うれしく思ってしまったのです。でも、すぐに『明日もどうかな?』と毎日のように頼まれていて、気がついたら土日祝祭日を除く平日の会社帰りは飲食店で仕事をするようになっていました」
そして3カ月ほどたつと、土日祝祭日の前日や当日にも「急遽入って」「人がいなくて回らない」とお願いされるようになります。「自分が手伝わなければ、お店が回らない」と考え、断れずに出勤していたのですが……。
本業でミスを連発し、チャンスを逃す
「そんな状況が1年以上続き、だんだんと疲労が取れなくなっていきました。そして本業に身が入らなくなり、ミスを連発。上司から、『近々、プロジェクトリーダーに推薦しようと思っていたのに残念』と言われてハッとしました」
そう、堀田さんは副業を頑張るあまり、本業でのチャンスを逃してしまったのです。さらにショックだったのは、新しい企画のプロジェクトリーダーに選ばれたのが、堀田さんの部下だったこと。
「猛反省して、飲食店からの急なシフト変更は断るようにしました。最初は店長や社員さんも困った様子でしたが、それまでなかなか決まらなかったパートが決まると、あきらかに私への態度が冷たくなったのです。代わりに、無理なお願いもなくなりました」
そして堀田さんは、「副業は副業だときちんと割り切らないと、どちらもダメになるので気をつけてほしいです」と警鐘を鳴らします。副業をスタートさせるには、自分の性格や考え方を踏まえ、職種や働き方を検討することも重要だといえるでしょう。