すぐに結果を求める人は副業に向かない?失敗続きの50代著者がたどり着いた在宅副業辞典【今週末読みたい本の話】
話題の新刊から、名前は知っているけれどなかなか手が出ない古典まで、時事性の高い政治・経済ニュースの見方が深まる良書の書評を、大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが担当する。
そんなジャーナリストがお勧めする今週末読みたい本は……。
るね著〈副業で稼げる人は知っている最高のはじめ方〉(個人出版)
結論から言えば、副業を始めるにはどうしたら良いのか、基本からコーチしてくれる良質のガイド本である。
近年、世の中で副業が注目されるが、何をどうすれば良いのか分からないため迷っている若手ビジネスパーソンも多いだろう。
本書は、そんな人にイチから指導してくれる実践的な本だ。
著者は、関西在住の「アラカン」(還暦前後)男性。著者自身も50代から始めた副業で紆余(うよ)曲折を経験したという。
そんな著者によると、副業に向いている人は、
・自己管理が得意
・情報収集して行動できる
・学ぶ意欲がある
・「スキ」なこと、「得意」なこと、「やりたいこと」がある
といった特性があると指摘する。逆に向いていない人については、
・時間管理が苦手
・1つのことに集中したい
・すぐに結果を求める
といった例を挙げる。
「地道に続ける」が成功のコツ
副業選びのポイントについては、好きなこと・得意なことを仕事にするための時間を確保しつつ、リスクを最小限にする工夫が重要だと指摘する。
自己分析を十分にしないまま副業を始めると、無理が生じたり、十分な成果が上げられなかったりという状況が懸念される。自分の興味や強みを深く掘り下げ、スキルにあった仕事を選ぶといい。
好きや得意に加えて、仕事の成果に報酬が発生する「成果報酬型」、および一度つくった何かがずっと収入を生み出す「ストック型」の副業を著者はお勧めする。
「ストック型副業」とは、趣味や特技、知識を生かして何かをつくり、インターネットなどで公開して収入につなげる仕組みである。
写真が趣味の人は自分で撮影した写真をオンライン販売すればいい。料理が得意な人はオリジナルのレシピを電子書籍にして売るなどの方法が考えられる。
ネット全盛の現代であるからこそチャンスも広がっている。「コンテンツをたくさんつくり地道に続ける」が成功のコツだと著者は指摘する。
逆に、著者が勧めない仕事として、時給の低い「時間報酬型」アルバイト、スキルが身に付かない単純作業、在庫を抱える副業などが挙げられている。
その理由については、実際に著者が失敗した経験が背景にある。実体験に裏打ちされたアドバイスだけに説得力がある。
週末の時間を使ってできそうな仕事一覧67選
本書では、週末の時間を使ってできそうな仕事を「在宅副業辞典67選」として紹介もしている。
副業を始めるにあたっては、本業に影響が出ないように週末の時間を使って「ゆるっと」始めるといいらしい。
「在宅副業辞典67選」では、それぞれの仕事にどんな特徴があり、どんなスキルが必要か、どのように稼ぐかが分かりやすくまとめられている。
仕事の効率を上げる無料アプリやソフトウエアの使い方などについても解説があるのでとても実践的だ。
年齢を問わず、これから副業に挑戦したい人々にとって、多くの有益な情報が詰まった良質のガイドである。
最初の一歩をなかなか踏み出せていない人は本書で学び、行動してみてはいかがだろうか。
[文/H.Nack]