bizSPA!フレッシュ

豊臣秀吉の「一夜城」は本当か?現代の技術でも不可能な“歴史の真偽”を検証

コラム

 大人がかつて学んだ歴史上の人物や戦いは、最新研究が進み情報がアップデートされています。「えっ、そうなの?」と驚くほど、歴史はどんどん変わっているのです。

豊臣秀吉

豊国神社の豊臣秀吉像

 無類の歴史好きで、歴史解説本を出版している吉本芸人・房野史典氏@broadbouno)と、歴史研究家の河合敦氏@1ne15u)による共著『面白すぎる!日本史の授業』(あさ出版)では、歴史上の有名な人物や事件の内容をおさらいしながら、最新の研究をかみ砕いて伝えています。

 今回は数多くのエピソードを持つ「豊臣秀吉」について、房野氏と河合氏が解説します。

最も改訂が必要なのは豊臣秀吉?

 誰もが知る有名な人物やキャラクターを紹介するとき、そこには何の苦労も存在しません。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のような超有名人の説明は「みなさんご存じ……」の後に彼らの名前を付け加えればそれで事足りるんです。

 ただ、プロフィールの中にウソが混ざると、少々ややこしくなります。根底にある事実が揺らげば、「……と言われていましたが、実は……」といった注釈にまみれ、やたらと長い紹介にならざるを得ません。

 日本史に登場する全人物の中で1番リバイズ(改訂や修正)が必要なのは、もしかすると秀吉かもしれません。信長の草履を懐で温めた話や、現代のプレハブ工法のようなやり方で一夜にして城を築いた話(墨俣一夜城)など、創作の可能性が超高い逸話が、実際にあったこととしてカウントされてるので、さぁ大変です。

 ここでは近年新たな説が提唱されたエピソードを1つご紹介しましょう。「備中高松城の水攻め」についてです。

難攻不落の城をどう攻略するか

備中高松城の天守閣跡

備中高松城の天守閣跡

 1570年代中盤以降、勢力拡大に伴い四方の敵と境界を接するようになった織田信長は、各地域に“方面軍”と呼ばれる大軍団を送り込みます。中国方面軍の司令官となったのが、羽柴秀吉(豊臣秀吉)でした

 中国攻め最大の目的は、なんと言っても中国の雄・毛利氏攻略。毛利との直接対決が眼前に迫るなか秀吉は、毛利氏配下の清水宗治の守る「備中高松城(岡山県岡山市)」の攻略に取り掛かります。ところが、この備中高松城がなかなかに攻めづらい

 東西北を山に囲まれた盆地にあった高松城。城の周囲には湿地や沼地が広がり、それらが天然の堀を形成してるもんだから迂闊に手を出せません。これらの低湿地に無理やり飛び込めば、人も馬も足を取られて飛び道具の恰好の的になるという、まさに難攻不落の城です

面白すぎる!日本史の授業: 超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす

面白すぎる!日本史の授業: 超現代語訳×最新歴史研究で学びなおす

変わりゆく日本史を歴史芸人・房野史典氏が超現代語訳でおもしろく、そしてNHK歴史探偵でおなじみ河合敦先生が最新歴史研究からアカデミックに洗いなおす

人気タグ

おすすめ記事

河合敦・房野史典は他にもこんな記事を書いています