専門性が高いのに1年契約…学校カウンセラーの理不尽な雇用実態「いきなり雇止めに」
「相談していいんだ」って思ってほしい
大変な仕事だがやりがいも大きく、「ずっとスクールカウンセラーの仕事を続けていきたい」と鈴木さんは言う。
「よかったなと思うのは、面談に来た子どもや保護者の方が笑って帰ってくれた時かな。いやな思いやつらい思いをしていたお子さんが、『学校楽しい』って言ってくれたり、笑って帰ってくれると、よかったなと思いますね。大人からすると大したことではなくても、子どもだと世界が狭いので大したことになっちゃうじゃないですか。
そういう時に嫌な思いをするだけじゃなくて、乗り越えられたりとか、『助けてくれる大人がいる』『相談していいんだ』って思ってほしいです」
「私の友達がいきなり雇い止めに」
このように、子ども、保護者、教員を支えるスクールカウンセラーだが、実はその地位は非常に不安定だ。心理職ユニオンは、2021年9月1日から10月31日にかけて、都内公立学校で働くスクールカウンセラー1514人を対象としたアンケート結果を実施し、702人から回答を得た。
そのうちの91%が「この先雇用契約が更新されなくなる可能性」について、「不安に感じる」と回答したのである(「やや不安に感じる」22%「不安に感じる」69%)(アンケート結果の詳細は「心理職ユニオン」ホームページで公開されている)。
東京都の公立学校のスクールカウンセラーは、全て「会計年度任用職員制度」の下で1年間の有期契約で働いている。しかも不合理な雇止めを禁じていたり、5年以上勤めた有期雇用労働者に無期雇用への転換権を付与している労働契約法は、会計年度任用職員であるスクールカウンセラーには一切適用されない。通常の非正規労働者以上に不安定な地位に置かれているのである。
「私の友達で実際にいきなり雇止めにあった人がいます。業務の仕方について指導をされたわけでもなく、雇止めされた理由は全くわからない。都教委に問い合わせても何も教えてもらえなかったと言っていました。校長にも問い合わせたら、『新しい風を入れたかった。こうなるとは思わなかった』と言われたそうです。こんな理不尽な理由で切られて、友達はもう二度とスクールカウンセラーはやらないと言っています」(鈴木さん)