新卒生え抜きに“出世”で負けた29歳営業マンの苦悩「実力主義の会社なのに」
新卒者のほうが情報は多いから有利?
そのうえで、「特に20代の頃は、新卒で入社した社員のほうが、中途採用の社員よりも持っている情報が多い傾向はあり、昇進・昇格には有利な一面がある」と、久保さんは話す。
「その意味では中途採用の人はたとえ、実力があろうとも昇進・昇格である時期まではハンディを負うことがあるかもしれない。例えば新卒で入った人は5~6年すると、社内外の状況や各部署の内情もある程度は把握できる。人間関係もできている。したがって中途採用で入った同世代の社員よりは、仕事の業績は高いケースが多い。
また、評価する上司(管理職や役員)も、そのくらいの年齢の時期までは新卒で入った社員のほうが、中途採用の社員よりも、判断する情報が多いので、新卒者が有利になるケースは確かにあります」
新卒入社よりも給与が高い中途採用も
一方で、久保さんは「ただし、一部では逆のことが起きている」とも指摘する。
「中途採用の社員が、新卒で入った社員では到達できない等級(職能資格制度の等級)にいるケースがある。通常は、職能資格制度の企業は大企業、中堅、ベンチャー問わず、“この年齢ならばこの等級”といったモデルがあるのだが、そのモデルとはかけ離れたケースを時々見かけます」
久保さん曰く、例えば28歳の中途採用の社員が、新卒で入った同じ年齢の社員の等級よりもはるかに上にいるケースがあった。この会社の場合、28歳ならば通常は2等級が多く、その中で最も人事評価が高い人は上限(一番高い)の月給30万円だったという。
「だが、会社としてどうしても採用したい人が現在の会社(前職)で月給40万円を支給されているので、40万円を支払える等級に格付けていた。人事部の責任者に尋ねると、前職の賃金がこの会社よりも相当に高く、40万円だったのだが、どうしても採用したかったために賃金がダウンしないように配慮したのだといいます」