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「ウマ娘」大ヒットと和解金33億円…ゲームアプリが話題の2社は業績も明暗くっきり

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任天堂を激怒させたコロプラが33億円で和解

 絶好調のサイバーエージェントに対して、業績が冴えないのがコロプラ。2021年9月期の売上高は前期比17.7%減の371億2500万円、純利益は前期比61.8%減の30億4700万円となりました。コロプラは2013年3月リリースの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」、2014年7月の「白猫プロジェクト」で一時代を築いた会社です。

 2016年9月期は売上高が847億3000万円となりました。現在の売上高は全盛期の半分以下まで落ち込んでいます。盛者必衰をまさに体現しているような会社です。

コロプラ

コロプラ業績推移(単位:百万円)※決算説明資料より

 コロプラはスクウェア・エニックス・ホールディングスと共同開発した「ドラゴンクエストウォーク」が人気となりましたが、白猫プロジェクトのような勢いがありません。2020年4月には「この素晴らしい世界に祝福を! ~この欲望の衣装に寵愛を!~」を開発したMAGES.を買収していますが、業績への影響は限定的です。

 2021年9月期は33億円の特別損失を計上しており、純利益を下押しした最大の要因となりました。この特別損失が長年争っていた任天堂との和解金です。任天堂は当初、特許侵害の損害賠償金として44億円を請求していましたが、一時100億円まで金額を引き上げていました。

 また、特許権侵害に基づく白猫プロジェクトの生産、使用、提供の差し止め請求をしていました。コロプラにとって主力サービスの配信停止は死活問題です。早期の幕引きを図りました。裁判沙汰から解き放たれたコロプラはゲーム事業を手堅く伸ばしつつ、投資育成事業に力を入れるとしています。

 これは子会社である、コーポレート・ベンチャー・キャピタルのコロプラネクストなどの投資活動を指しています。目ぼしいスタートアップに出資をして育成する事業ですが、ソフトバンクグループが「金の卵」と呼ぶ成長期待の高い企業は育っていません。冬の時代が到来していると言えます。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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