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「ウマ娘」大ヒットと和解金33億円…ゲームアプリが話題の2社は業績も明暗くっきり

暮らし

 新型コロナウイルスの巣ごもり需要でゲーム業界が活気づきました。「ファミ通ゲーム白書2021」によると、2020年に日本国内ゲームの市場規模が2兆円を突破。ゲームアプリ市場は前年比8.4%増の1兆3164億円となりました。今年2021年もその勢いは留まりませんでした。

ウマ娘

画像は『ウマ娘 プリティーダービー』公式サイトより

 今年最大のヒット作となったのが「ウマ娘 プリティーダービー」で、2月の配信から半年ほどで1000万ダウンロードを記録しました。開発元・株式会社Cygamesの親会社であるサイバーエージェントの株価はうなぎのぼり。3月31日に初の時価総額1兆円超えを達成しました。

 その陰で減収減益に悩まされているのがコロプラ。「白猫プロジェクト」以来、大ヒット作に恵まれていません。しかも今年は特許侵害で訴えられていた任天堂に和解金33億円を支払っています。まさに踏んだり蹴ったりの1年となりました。今回の記事では対照的な結果となった両社の2021年を振り返ってみたいと思います。

驚異の純利益前期比528.8%増

 2021年9月期のサイバーエージェントは超絶決算と呼ぶにふさわしい内容です。売上高は前期比39.3%増の6664億6000万円、営業利益は同208.1%増の1043億8100万円、純利益は同528.8%増の415億5300万円となりました。純利益率は6.2%。この数字はコロナ前の2019年9月期の“営業利益率”6.8%とほぼ変わらない水準です。

 2021年3月11日のサイバーエージェントの株価は1557円。6月24日には2441円の高値をつけ、56.8%上昇しました。

サイバーエージェント業績推移

サイバーエージェント業績推移(単位:百万円)※決算短信より筆者作成、以下同じ

サイバーエージェント業績推移

 業績を支えたのはもちろんゲーム事業です。この事業の売上高は前期比68.6%増の2627億円、営業利益は同217.9%増の964億円となりました。それがウマ娘効果であることは明白です。ゲーム事業の売上高を時系列でみると、ウマ娘がリリースされた2021年2月(2Q)から急増しているのが分かります。

空前絶後の大ヒットの理由は?

サイバーエージェント

ゲーム事業売上高推移※決算説明資料より

 ウマ娘は実在の競走馬を美少女化したキャラクターが、有馬記念などのレースに出走するという育成ゲーム。2018年4月にはアニメが放送され、マンガ本も出版されたメディアミックスプロジェクトですが、ゲームが空前絶後の大ヒットとなりました。

 ポイントはゲームと競馬ファンの両方を取り込んだことです。競馬の黄金時代を彷彿させるシーンやシナリオ、キャラクター作りをしてファンを喜ばせました。

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