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赤字7.7億円の失敗体験も…ミクシィ「モンスト」部長が語る、大ヒットの法則

ビジネス

社長時代に味わった“失敗”が今に生きている

 道下氏が、こうした事業成長に寄与するような成果を出せているのも、過去の失敗が生きているという。実は2018年に、ミクシィの新規事業として立ち上げたノンアルコールパーティードリンク「HECATE(へカテ)」の代表に就任し、製造から販売、マーケティング、ブランディングまでを横断的に見ていた。

 話題化を狙うため、六本木に完全招待制となるパーティーの聖地「HECATE ISLAND」を期間限定でオープン。世界観の創り込みや一流ダンサーの起用、ドリンクの無料配布など大規模なプロモーションを3か月間実施した。

ミクシィ

六本木に期間限定でオープンした「HECATE ISLAND」の様子

 その後も、会社の納会や忘年会などのパーティー需要に合わせた宅配サービス「デリハイ」などを手がけたが、初年度は7億円、翌年は7,700万円の赤字を計上し、2020年5月を持って事業クローズとなってしまったのだ

「やるべきこと」と「やらないこと」を見誤らない

 道下氏は、HECATEが波に乗れなかった理由について「しっかりと話題化すれば、取り扱う店舗が増えていくだろうと考えてしまった」とし、こう振り返る。

「ゲームの成功体験があるので『ターゲットのペインに寄り添った商品だから、商品認知を広げることができれば売り上げもついてくるのでは』と見誤ってしまったんです。HECATEを知ってもらうために、マーケティング費用をかけてプロモーションを実施したことで、一定の話題は醸成できましたが、事業にとって肝心な取り扱い店舗への商品の配荷を伸ばすのに苦戦しました。

 既存の飲料メーカーの資金力や営業のノウハウに対して頑張って対抗したものの太刀打ちできず、参入障壁が非常に高いというのを身にしみて感じましたね」

 それでも奮闘して拡販に努めたものの「初期投資としてブランディングと販促に力を入れ、結果として3000店にも及ぶ店舗に導入してもらったが、事業が継続できるラインの到達まで体力が続かなかった」と道下氏は振り返る。

HECATEの失敗で学んだのは、『センターピンを見誤らない』こと。事業をグロースさせるために、本質的に磨き込むべきことは何か。成果を最大化させるために、最適なプロモーションはどのようなものか。『やるべきこと』と『やらないこと』を明確化し、予算(バジェット)の使いどころを見誤らないように意識するようになったことは、今のモンスト事業でのマーケティングにも生きています」

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