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不登校からYouTuber事務所社長に。僕を救った「スヌーピーの教え」

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VAZ社長が救われた「スヌーピーの教え」

――キャリア形成においても、苦手の克服より、得意を伸ばすことに時間を割いたほうがいいと。

森:はい。そもそも日本人は、苦手を克服することを美徳としすぎるフシがあると思います。しかし僕は、苦手を克服することばかり頑張るのではなく、得意を伸ばすことにもっと時間を使うべきだと思ってます。

 たとえば、人前で話すのが苦手な人が努力しても、やはり限界があります。多少なりとも改善するかもしれませんが、もともと話すのが上手で、人前に出るのが好きな人には敵いませんよね。生存戦略としてはあまりに効率が悪いのですし、そもそも、みんながみんな話上手になる必要はないのです。

――とはいえ、苦手なことが減れば、活躍の機会が増えると思います。

森:もちろんそうでしょうが、あくまで費用対効果が小さいという話です。レバレッジのかからない選択だと思います。僕がこうした考え方をするようになったきっかけは、くすぶっていた大学時代に、たまたま「配られたカードで勝負するっきゃないのさ、それがどうゆう意味であれ」というスヌーピーの名言を目にしたことです。

 当時、僕は学内に友人がおらず、アルバイトもクビになり、孤独を感じていました。地元を出て上京していたこともあり、どこにも居場所がなかったんです。アルバイトを転々として自分にできる仕事を探しましたが、どこにいっても使い物になりませんでした。

努力と成長は万能薬ではない

森泰輝

森:結局、学校にも行かなくなり、自宅で寝たきりの生活をして、他力本願で人生が好転することを願っていましたね。しかし、スヌーピーが言うことには、「配られたカードで勝負するっきゃない」。

 たまたま目にした言葉でしたが、そこで考え方を改めました。苦手の克服を諦めて、得意なことで生きていくことを覚悟したんです。その選択が起業であり、現在に至る最初のきっかけでした。

――苦手の克服を諦めたことで、どのように考え方が変化したのでしょうか。

森:それまでずっと思っていた、「努力すればなんとかなる」という考えが、的外れな勘違いだと気がつきました。生まれながらに才能がないのであれば、目一杯努力をしたところで、たかが知れている。「完璧な人間はいない」とよく言いますが、本来の意味は「完璧になどなれない」なんです。

 人は生まれながらに特性があり、その特性を努力で変えることはできません。だから、誰かになろうとする努力は、いってしまえば不毛なわけです。だから「周りの人はみんなできている」という声に惑わされる必要もないし、「自分だけができていない」なんて不安を持つ必要も一切ない。

 起業によって居場所を見つけられた経験から、自分に対しても、他者に対しても、「あなたはあなたのままでいい」と思えるようになりましたね。

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