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上昇を続ける「カレーライス物価」とは?【やさしいニュースワード解説】

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上昇を続ける「カレーライス物価」とは?【やさしいニュースワード解説】

在京の大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが時事ニュースをやさしく解説。今回は、「上昇を続けるカレーライス物価」です。

物価高の影響を可視化した「カレーライス物価」が大幅上昇

信用調査会社の帝国データバンク(TDB)は、 生鮮食品などの値上がりがカレーライスを作るコストに与える影響を示す「カレーライス物価指数」を2024年から独自に試算し分析を行っています。

近年の物価高を受けて、必要な食材や光熱費などの上昇が1食当たりの価格にどう反映するかを見るものです。このほど公表されたデータによりますと、2025年2月のカレーライス物価は、1食あたり407円と前月の396円から11円高くなり初めて400円を突破しました。1年前の2024年2月と比べると88円高と大幅な上昇となりました。

5年間で約5割上昇

カレーライスを構成する食材の費用内訳をみると、最も高いのは全体の約5割を占める具材(肉、野菜)が209円 と、前年同月に比べて11円上昇しました。これは猛暑の影響で野菜の価格が高騰した2024年8月以来の高値となりました。さらにライス(ご飯)の価格は169円と前年同月から77円高と大幅上昇しました。TDBはコメの店頭価格が上昇していることが背景にあると分析しています。

このほか水道光熱費は4円と、政府による補助でガス代や電気代が低く抑えられている効果が出ているほか、カレールーは25円と価格変動がありませんでした。

TDBの算出によると、カレーライス物価は5年間で約5割上昇し、10年前と比べると6割以上も値上がりしており、物価高が反映していることがわかります。

カレーライス物価は今後も高値が続く予想

今後の見通しについてTDBは、3月のカレーライス物価は420円前後に上昇すると予想しています。農水省の調査では、野菜類(ニンジン、ジャガイモ、タマネギ)の価格が平年を上回る見通しになっているほか、輸入牛肉の価格も横ばいから上昇傾向で推移する見通しで、具材価格の合計は210円台に到達して過去最高値を更新する可能性があるからです。

さらにコメの価格は、政府の備蓄米放出後も下がる気配はみられず、農水省の最近のデータによると、全国のスーパーでのコメの販売価格は5キログラム当たり4,200円(税込)を超えて上昇が続いています。電気代やガス代の上昇も相まって、カレーライス物価は今後も高値が続くものと見られます。

世界展開するマクドナルドのビッグマックを基準に、国ごとの購買力や通貨の強さを比較する「ビッグマック指数」という指標がありますが、カレーライス物価指数は同様に身近な食材の価格で物価の上昇度合いを把握することができる非常にユニークな指標といえます。

トランプ関税の影響などで今後もさまざまなモノの値上がりが予想されるため、当面は生活に身近な物品を中心に価格動向を注視する必要があるでしょう。

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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