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副業率は59%!? 法律でも副業を認めるベトナムの副業事情

ビジネス

近年、生活費や将来の不安に備えるため、副業を希望する人が増加しています。また、収入を補うだけでなく、新たなスキルを身につけたり、趣味を活かしたりする場としても注目されているようです。

そんな副業に関するさまざまな情報を紹介してきました。今回は「副業大国」と言われるベトナムの驚くべき副業事情を紹介します。

就業者5人のうち3人が副業

日本でも副業が盛り上がっているとよく耳にします。とはいえ、本業を持ちながら副業をしている人の割合は日本の場合、各種の調査によって数字が異なるものの、一けた台です。

欧米諸国も大差ありません。欧州労働力調査のデータを活用したKonstantinos Pouliakasの調査(2017年)によると、どこかで雇用されている身分でありながら副業をしている人の割合はEU全体で4%(推定)となっています。

もちろん、EU全体の平均なので、副業率の高い国・低い国があるわけですが、高い場合でも10%程度です。高いと言っても1割程度、就労者10人に1人のレベルですよね。

しかし、世界にはもっと、副業が浸透している国があります。例えば、ベトナムです。

健康・栄養食品や製品を販売するHerbalif(本社:米ロサンゼルス)が、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、ベトナムの就業者5,500人から得た情報によると、ベトナムでは、就業者5人のうち3人(59%)が副業中で、生活のやりくりにその収入を使っているとの話。

ちょっと、けた違いの副業率ではないでしょうか。「副業がバレるかも」などと気にしなければいけない日本とは違って、副業をやっていない人のほうが少数派といった状況が存在しています。

いくつの会社で働いてもいいと法律にある

この背景には、新型コロナウイルス感染症拡大による在宅勤務の増加、インフレによる生活費の圧迫、経験豊富な労働者の市場ニーズの高さなど、さまざまな要因があるみたいですが、ほかにもベトナム労働法の存在が一般にいわれています。

ベトナム労働法の第19条では、複数の就労場所と労働契約を締結できる権利が労働者に認められています。要するに働く側は、いくつの会社で働いてもいいと法律に書かれているのですね。

ただ、労働契約を締結した以上、きちんと仕事をこなさなければいけないとも法律に書かれています。そのため、雇用する側も、仕事を掛け持ちする側も、労働時間、休憩時間、業務内容、作業場所などを事前に明らかにして、

“締結した契約内容を十全に履行”(JICA訳・ベトナム労働法より引用)

できるかどうかを事前に話し合うみたいです。

上述のHerbalifの調査を見る限り、ベトナムで人気の副業や希望の月収額は日本と大差ありません。業務内容については、オンライン上の商品販売、コンテンツ作成、執筆、編集、校正などの仕事が一般的です。

ベトナムを含むAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の調査回答者の平均で、理想的な副収入は1カ月300~700米ドルとの情報もあります。日本円にして5~10万円くらい。「確かに―」という感じではないでしょうか。

「副業しようかな、できるかな、大丈夫かな」とちょっと尻込みしている人は、ベトナムのような国もあるのだと思えば、ちょっとだけ勇気も出るかもしれませんね。

[文/坂本正敬]

[参考]
3 in 5 People Have Side Job to Help Make Ends Meet – Herbalife
※ 複数の労働契約を締結する労働者を採用する際の注意点 – I-GLOCAL CO., LTD
※ ベトナム労働法
ベトナムにおける副業・兼業に関する規制や社会保険等、および業務委託との関係 – Business Lawyers
欧米主要国の「副業」の現状 – リクルートワーク研究所
副業者の就労に関する調査 – 労働政策研究・研修機構

〈bizSPA!フレッシュ〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。執筆者としては、国内外の媒体に日本語と英語で寄稿。翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近では務める。プライベートでは、PTA広報誌の編集長も兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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