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【国内利用者No.1*のChatwork】新サービス「Chatwork アシスタント」は中小企業DXの救世主となるか?

ビジネス

Chatwork株式会社 取締役COOの福田升二氏

ビジネスチャット「Chatwork」を主力事業として展開するChatwork株式会社。サービス開始から今年で12年目を迎える「Chatwork」は、ビジネスチャットのパイオニアとして国内利用者数No.1*を誇る。中小企業を中心とした民間企業、教育機関、官公庁など、39.7万社以上に導入され(2023年3月末日時点)、これまで各組織の生産性向上やコミュニケーション活性化に貢献してきた。

そんな同社が6月5日に正式リリースしたのが、「SaaS(Software as a Service)」の進化版とも言うべき「BPaaS(Business Process as a Service、通称:ビーパース)」の仕組みを使った、オンラインアシスタントサービス「Chatwork アシスタント」だ。

「Chatwork アシスタント」は、DXを喫緊の課題とする中小企業の救世主になると予想される。ビジネス上のコミュニケーションツールである「Chatwork」に加え、複数のSaaSやITツールなども併せて利用することで、包括的に業務効率化が可能だからだ。同社が推進する「BPaaS」と新サービス「Chatwork アシスタント」とは、果たしてどんなものなのか。同社取締役COOの福田升二氏に、取り組みの裏側を聞いた。

カギはDX推進による労働生産性の向上

2023年4月1日に改正労働基準法が施行され、これまで猶予されていた中小企業の時間外労働の割増賃金率が大企業と同様の水準に引き上げられた。人件費の増加を回避するためにも労働生産性の向上が喫緊の課題となるなか、「中小企業のDXを推進し、生産性を上げることが課題解決につながる」と考え、今回の新サービスが生まれたという。

日本の労働人口のうち、68.8%の労働者が働く中小企業において、労働生産性の低さの根本原因となっているのが、適切なDX人材が確保できないことによるDXの遅れです。92%以上の中小企業がDXに取り組めていないなか、『DXを推進しようにも、そのための予算もなければ人手もない。どこから手を付けていいのか分からない』という現状がある。その問題をいち早く解決するためには、SaaSの導入を提案するだけではなく、一旦我々が業務プロセスごと巻き取った上で、それぞれの顧客に代わってSaaSを使い、その会社のDXを推進する必要がある。それこそが今回僕らが始めた『BPaaS』であり、『Chatwork アシスタント』という業務代行サービスなんです」

「Chatwork」は、オープンプラットフォームとして様々なサービスやユーザー同士の連携が容易であることから、多くの中小企業において導入されており、社内外のコミュニケーションツールとして日常的に活用されているという利点がある。これを活かし、これまでITの知見やノウハウが少なく、複数のSaaSプロダクトを使いこなすことができずにいた企業であっても、「Chatwork」上から簡単に「Chatwork アシスタント」への業務依頼を行うことができ、低予算で業務効率化を図れるというわけだ。

BPaaS事業に特化するためのM&Aも実施

 2023年1月に同社は、クラウド型就業管理・人事評価システム、労務アウトソーシングなどを提供する株式会社ミナジンの株式を100%取得し、人事・労務領域におけるBPaaS事業に必要なケイパビリティを獲得。「Chatwork アシスタント」を通じ、業界に関わらず多くの中小企業に共通するバックオフィス系の業務支援を行うことで、それぞれがコア業務に専念できる環境の実現を目指すという。

Chatwork株式会社 インキュベーション本部ビジネスユニット_ユニット長の桐谷豪氏

同社インキュベーション本部ビジネスユニット_ユニット長の桐谷豪氏は、サービスについてこう語る。

 「正社員や派遣社員、アルバイトの採用には、採用費や教育費など多額の固定費が掛かるだけでなく、マニュアル作成や担当者間での引き継ぎなども発生しますが、『Chatwork アシスタント』なら必要なタイミングで、必要な分だけ手軽に依頼でき、大幅なコストダウンが可能です。具体的には、月に10時間/3万5000円~、経理、人事労務、採用など、多岐に渡る業務を組み合わせてご活用いただけます。固定費を変動費に代えることができるのが、大きなメリットです。ゆくゆくは、バックオフィスの業務代行に加えて、士業の方と連携し様々な相談ができるサービスの展開なども見据えています」

中小企業のDXを阻む一番の要因は「人を動かせないこと」

 通所介護事業「カラダラボ」など、全国で173の事業所を展開する株式会社3eee(スリー)は、「Chatwork アシスタント」へ依頼したことで、「Chatwork」「Googleスプレッドシート」「Google Apps Script(GAS)」を連携し、業務の自動化と連絡漏れの防止に成功。サービスを活用する以前は、社員研修のリマインドや、毎週・毎月・数カ月に1回といった定期的な各種社内アナウンスを自社の複数人で対応していた。業務フローは決まっているものの、個別の対応やリマインドなどで対応工数がかかる上、内容も多岐にわたることから通達漏れが発生していたというが、「最小限の費用で効率化が可能となり、期待していた以上の成果を得られそうだ」と、同社の代表取締役・田中紀雄氏はコメントを寄せる。

JFLに所属するサッカークラブ、Criacao Shinjukuの事例

 一方、JFL(日本フットボールリーグ)に所属するサッカークラブ、Criacao Shinjukuでは、「Chatwork アシスタント」の活用により、約30時間/月の業務の巻き取りに成功し、工数削減にも成功。活用以前は会計管理ツールなど複数のSaaSプロダクトを利用し約40時間/月を作業に費やしていたというが、約10時間/月で毎月の経理業務を終えられるようになったという。Criacao Shinjuku選手兼執行役員経営企画室長・原田亮氏は、「Chatworkのような専門家に依頼することで、自分たちではやりきれなかった『本当の意味での効率化』ができたと感じる」と語りつつ、1カ月間サービスを活用して新たに見えてきた自社の課題について、こう語る。

「業務を巻き取っていただいても、それ以前の在庫の管理や金銭の授受といった物理的な作業は社内に残るので、今後それをいかに迅速化するかが我々の課題です」

 福田氏いわく「まさしく、我々もそれが一番の課題であると認識しています。言い換えれば、まさにコミュニケーションツールである『Chatwork』を活用できるという点こそが、『Chatwork アシスタント』の一番の強みなんです。例えば、勤怠の集計をツールやAI、エクセルで自動化しても、そもそも入力してもらえないことには始まらない。ですが、『Chatwork』を活用すれば、勤怠が未入力の社員に自動で催促することが出来る。実は、DXを阻む一番の要因は、「人を動かせないこと」だったりするんです。これまで盲点となっていたことをコミュニケーションツールですくい取り、中小企業のお困りごとを解決できるサービスを、今後も提供していきたいと考えています」

 国内利用者数No.1*のビジネスチャット「Chatwork」という自社の強みを生かしたサービスで、中小企業にビジネスチャンスを見出す同社の先見性に今後も注目したい。

* Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2022年5月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む47サービスをChatwork株式会社にて選定。

<取材・文・撮影/渡邊玲子>

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ライター。映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍するクリエイターや起業家のインタビュー記事を中心に、WEB、雑誌、パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。

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