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車椅子レースで五輪代表へ。佐藤友祈が伝えたい「チャレンジする大切さ」

暮らし

競技の見所はスタートと駆け引きも

オリンピック

――プロ転向前後で意識の変化はあったと思いますが、実際に行うトレーニングなどにおいては変化、違いなどはありましたか?

佐藤:純粋にトレーニングの時間がプロ転向前よりも倍になりました。それまで、普段の業務後に行っていたトレーニングは2時間くらいだったが、現在は4~5時間くらいをトレーニングの時間にあてることができていて、あとは身体のメンテナンス、ケアなどにも時間を割いています。

――パラ陸上・車椅子種目という競技の見所はどんなところでしょうか?ご自身の出場するそれぞれのレースの大きなポイントとなる部分について教えてください。

佐藤:400mの見所としては、スタート後、いかに早くトップスピードに持っていけるかというところです。1500mに関してはレーンがセパレートではなくオープンレーンになっているので、スタートの出だし、位置取りが重要になります。

 出遅れてしまうと、スタートで先を行った選手にポケット(前方、右横を塞がれる状態)されて、そこから抜け出せられない状況になってしまうので、そうならないため、いかに早い段階で加速し、後続選手を引き離していくかという駆け引きが見どころです。

選手たちのチャレンジする気持ちを感じて

オリンピック

――自身の競技を通して、ファンに伝えたい思いや感情などはありますか?

佐藤:昨年開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの影響で延期になってしまいました。新型ウイルスの感染が確認されてから、開催延期決定に至るまで、選手たちはどう対策、対応すべきかわからない状況下だったこともあり、「振り回された」という思いもありました。

 自分でも(大会中止の可能性など)嫌な予感もあったなか、昨年3月に延期が決まり、「ああ、中止にならなくてよかった」と、まず思いました。

 延期となった今回の東京大会という舞台に向けて、自分も含め選手たちが軌道修正し、ピークパフォーマンスを持ってきています。まずは、僕らのプレーからチャレンジする大切さを感じ取ってもらえたらいいなと思っています。

<取材・文/佐藤文孝>

【佐藤友祈】
1989年、静岡県生まれ。21歳の時に脊髄炎の影響から車いす生活に。2012年ロンドンパラリンピックを見て陸上を始め、4年後のリオパラリンピックでは400m・1500mで銀メダルを獲得。2021年にプロ転向を表明。Twitter:@sato_paralympic

新潟県在住。Jリーグ、プロ野球、大相撲やサッカーW杯、オリンピックなど多くのスポーツの現場に足を運び、選手、競技から伝えられる感動を文章に綴っている

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