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GoToトラベルで四国を満喫した24歳「嫌がらせは一度もなかった」

暮らし

「お接待」というもてなしの文化

「神社やお寺など古い建物のある場所に行くのが好きだったんです。別にお遍路が目的じゃなかったので順番はバラバラでしたが、時期が時期なので自分のことだけではなく『コロナが早く収束しますように』ってお祈りもしていました」

 すると、あるお遍路の寺を訪れた際のこと。参拝を済ませて境内を出ようとすると、「お兄さん!」と角野さんを大声で呼び、手招きする女性がいたそうです

 そこで彼女のもとに近づくと、「今日は暑いからね。はい、どーぞ」とキンキンに冷えたお茶をくれたそうです。

「参拝者に飲み物などを振舞っているボランティアの方たちで、横浜から来たことを話すと『こんな時期にわざわざそんな遠いところから来てくれてありがとうね』ってお礼を言われたんです。まさかそんなふうに感謝されると思っていなかったので驚きましたが、すごくうれしかったですね」

 四国には古くからお遍路を巡る人たちに飲み物や食べ物を振舞ったり、泊まる場所や休憩所を提供する「お接待」という文化があります。彼らにとって参拝に訪れた人に対するこうした行為は、弘法大師をもてなすことにもなるため、徳を積んでご利益が得られると考えられているのです。

すっかり四国が大好きに

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「あとでネットを見てそういう文化があると知りましたが、だからといって30度を超す猛暑のなか、そうやって1日中もてなすなんて簡単にできることじゃないですよ」

 このときは飲み物だけでなくスイカまでいただいたそうで、それもボランティアの方が自分で栽培した貴重なもの。相手が話好きだったこともあり、角野さんもつい長居しておしゃべりを楽しんでしまったといいます。

すごく甘くて美味しいスイカで3切れも食べちゃいました(笑)。ほかにも穴場の観光名所や食べ物屋さんの情報も細かく教えてくれて、おかげで四国がとても大好きになりました。また機会を作ってぜひ遊びに行きたいですね」

 旅行者への嫌がらせやバッシングが起きていた中での温かいもてなし。彼にとっても忘れられない旅の思い出になったようです。

<取材・文/トシタカマサ イラスト/田山佳澄>

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中

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