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東京メトロ銀座線の“新”渋谷駅、開業。総工費290億円で変わる渋谷の景観

暮らし

銀座線2代目渋谷駅初日

渋谷ヒカリエ

渋谷ヒカリエの隣に銀座線駅舎を構えた

 2020年1月3日(金)0時20分頃、銀座線2代目渋谷駅はまだ工事が続いていた。駅舎となる明治通り方面改札ではタイルの最終確認、ホームでは発車ベルを鳴らす動作確認など、“NEW DAYBREAK”に向けて余念がない。3時を過ぎると、試運転列車が幾度も発車してゆく。

明治通り

明治通り方面改札側には、エスカレーターの裏側がむき出しという“珍百景”

 デザインコンセプトは「フューチャーシティ」。明治通りと東口広場に対して、駅舎のボリュームを感じさせない全体のフォルムとし、“新しい街”を体現する空間としている。近未来を表現しつつ、従来通り「東口広場から電車が見える」、「電車から東口広場が見える」よう、ガラス張りにしたのが特長だ。

ホーム

まるで、どこまでも続く道のようなホーム

 ホームに立つと、東京メトロのシンボルマーク「ハートM」を模したように見える屋根の形状が強烈なインパクトを放つ。まるで“新時代の入口”と“22世紀に向けた駅”に映る。駅舎内のインテリアデザインは白で統一し、明るい空間を演出している。

 東京メトロによると、計画当初は門型ラーメン構造(ボックス形状)とする予定だったという。しかし、東口駅前広場の上空に、ボリュームが大きい四角の筒が現れると、圧迫感があるため、四角の筒の角を削る“アーチ案”が考案された(東京メトロの設計者と内藤廣建築設計事務所で検討した結果による)。

 この構造には、上屋と将来設けられる歩行者用のスカイデッキの接触部分が小さく、構造が不安定になるという弱点があった。そこで、頂部のボリュームを削ぎ落し、M 型アーチ状にすることで、スカイデッキを支持しやすい構造とした。これにより、デザインと技術の双方の課題を見事に解決したのだ。

案内サイン

仮仕上げが幸いし、案内サインはより見やすくなった

 ホームの床は仮仕上げで、案内サインは仮設の床に埋め込んでいるため低い。東京メトロによると、東京オリンピックまでに白いタイルに張り替えるほか、ホームドアも設置される。これにより、案内サインは標準の高さになるという。

 また、路線名「銀座線」の案内サインが東急電鉄渋谷駅で使われているものとほぼ同じデザインで、わかりやすい。これは渋谷区駅前サインガイドライン策定委員会事務局の「渋谷駅前サインガイドライン」に基づいたもので、共通の案内サインを設置し、連続性や一貫性を確保し利用者にわかりやすい情報提供を行なう。

1番列車が2番線に入線

3回目

3回目の線路切替工事は広範囲に及んだ

 4時25分、新駅舎供用開始式典が始まると、2番線に1番列車の浅草行きが入線し、停止位置より数十メートル手前に停車。“晴れの日”にふさわしく、1000系特別仕様車が使われる。今回の線路切替工事は初代渋谷駅構内にも及び、現・渋谷2番線―上野検車区渋谷分室間の一部を単線化した。また、旧降車ホームの改札口は自動改札が撤去され、当面のあいだは“マボロシのホーム”の一部分を通行できる。

 東京メトロによると、上野検車区渋谷分室への線路は継続使用され、現行のホームについては、今後、西側の工事の進捗に合わせて解体される予定だという(時期未定)。

 一方、新ホームの現・1番線は行き止まり式となり、約14メートルの過走余裕を設けた(停止位置からある程度の距離を確保することで、衝突事故を防ぐ)。

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