コカ・コーラ、好調な「Coke ONアプリ」で進めるスマホ自販機戦略
コンビニ好きユーザーも「Coke ON」を併用
一般のアプリユーザーに比べてCoke ONユーザーの利用が特徴的に多いアプリは、いずれもデジタルポイントやキャッシュレス決済に関わるもの。
意外なことに、1位ローソン、2位セブン-イレブンアプリ、3位マクドナルドは、全てコカ・コーラが買えるチャネルでもあります。店舗で買いものをすることが多そうなユーザーなのに、スマホ自販機へも誘導できているとしたら、おそるべしCoke ONです。
5位のTポイント、7位のdポイントクラブといったポイントアプリ、6位のファミペイなどの決済アプリ、11位の楽天市場などのショッピングアプリといった顔ぶれからは、お得意識が高くキャッシュレス決済に抵抗のないスマートなユーザー像を想起させます。Coke ON Pay機能は10月からPayPayにも対応予定なので、併用ユーザーがさらに増えるかもしれません。
世間では「節約志向の強い若者が割安なドラッグストアに流れて、自販機離れが進んでいる」と言われていましたが、コカ・コーラに関してはD2Cチャネルを通じたファンコミュニケーションで、顧客を取り戻しつつあるように見えます。
コカ・コーラではCoke ONリニューアルと同時期に社内システムも刷新し、バックオフィス業務を含め社内データを集約しています。Coke ONで取得したユーザーごとの購買、アプリ起動、歩行などのディープデータ、自販機や製品ごと、販売日時などのリアルPOSデータは、キャンペーンや受給予測、AIによる訪問ルート計画アルゴリズムなどに活用され、売上アップと生産性向上に貢献していくことでしょう。
小売店に卸したあとはクレームぐらいしか接点のなかった消費者とダイレクトにつながるCoke ONというD2Cデジタルプラットフォーム、今後も注目です。
<取材・文/清水響子>