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コカ・コーラ、好調な「Coke ONアプリ」で進めるスマホ自販機戦略

ビジネス

コンビニ好きユーザーも「Coke ON」を併用

 一般のアプリユーザーに比べてCoke ONユーザーの利用が特徴的に多いアプリは、いずれもデジタルポイントやキャッシュレス決済に関わるもの。

 意外なことに、1位ローソン、2位セブン-イレブンアプリ、3位マクドナルドは、全てコカ・コーラが買えるチャネルでもあります。店舗で買いものをすることが多そうなユーザーなのに、スマホ自販機へも誘導できているとしたら、おそるべしCoke ONです。

Coke ON

図表 11/Coke ONアプリユーザーの利用が特徴的に多いアプリ(2019年8月。黄緑はコンビニやファストフードの会員アプリ、ピンクはポイント、水色は電子決済、黄色はショッピング)

 5位のTポイント、7位のdポイントクラブといったポイントアプリ、6位のファミペイなどの決済アプリ、11位の楽天市場などのショッピングアプリといった顔ぶれからは、お得意識が高くキャッシュレス決済に抵抗のないスマートなユーザー像を想起させます。Coke ON Pay機能は10月からPayPayにも対応予定なので、併用ユーザーがさらに増えるかもしれません。

 世間では「節約志向の強い若者が割安なドラッグストアに流れて、自販機離れが進んでいる」と言われていましたが、コカ・コーラに関してはD2Cチャネルを通じたファンコミュニケーションで、顧客を取り戻しつつあるように見えます。

 コカ・コーラではCoke ONリニューアルと同時期に社内システムも刷新し、バックオフィス業務を含め社内データを集約しています。Coke ONで取得したユーザーごとの購買、アプリ起動、歩行などのディープデータ、自販機や製品ごと、販売日時などのリアルPOSデータは、キャンペーンや受給予測、AIによる訪問ルート計画アルゴリズムなどに活用され、売上アップと生産性向上に貢献していくことでしょう。

 小売店に卸したあとはクレームぐらいしか接点のなかった消費者とダイレクトにつながるCoke ONというD2Cデジタルプラットフォーム、今後も注目です。

<取材・文/清水響子>

法政大学院イノベーション・マネジメント専攻MBA、WACA上級ウェブ解析士。CRMソフトのマーケティングや公共機関向けコンサルタント等を経て、現在は「データ流通市場の歩き方」やオープンデータ関連の活動を通じデータ流通の基盤整備、活性化を目指している

【調査・分析データについて】
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズが提供する、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用しました。データはヴァリューズ保有のAndroidスマートフォンモニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に換算して推測しています

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