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「~につきましては」を英語3文字で伝えるには?

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 さて、With respect toなどの表現を使うの利点は、表現がAboutより少し洗練されて、レベルアップしているというだけではありません。何に対して返答しているのか明確にする、という利点があります。微妙なニュアンスの違いですね。

 例えば会議や交渉の席でいろいろな話題が出ているとします。A社に対する投資、B社に対する投資、C社に対する投資など、ひとつ間違えると誤解が生まれてしまいそうなときです。そんなとき、ただAboutと言うのではなく、

With respect to our investment plan for Company A

 と言うだけで、誤解を避けることができるでしょう。

言い方を変えれば伝達ミスも防げる

 聞いている人にとって「今から話が出るのはA社についてだな」と心の準備ができます。もしもAboutだけで済ませてしまうと、聞き逃してしまう可能性もあります。

 日本語でも「これからお話をするのはA社のケースですが」と言う場合と、「A社ですが」と言う場合では、聞き逃すリスクが違うのを想像していただけるでしょう。

 一般的にはなるべく数少ない単語で、簡潔に表現するのが望ましいとされています。これは書き言葉でも、話し言葉でも同じ。

 そんな法則から考えると、Aboutの様に1語で表現できるのにわざわざ4語にするのはおかしな気がするでしょう。この表現は、それだけ「~については」という限定の意味を明確に伝えるときに使う表現と覚えておいてください

 闇雲にAboutを言い換える表現ではありません。一般的にはAboutやAs forを使って、特に誤解を避けたいときや、話の内容を明確にしたいときにWith respect toを使う、と覚えておくと良いでしょう。

<TEXT/木内裕也>

会議通訳者、ミシガン州立大学研究者。アメリカ大衆文化、アメリカ史の研究を行うほか、国際一流企業、各種国際会議などの通訳を行う。またプロサッカーの審判員としても活躍。著書には『同時通訳者が教える 英語雑談全技術』『耳と口が英語モードになる同時通訳者のシャドーイング』(ともにKADOKAWA)など多数。英語で仕事をする人の応援サイト「ハイキャリア」にも執筆

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