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沖縄県民が誇るアイス「ブルーシール」。地元に軸足を置いたスタンスを崩さない独自のマーケティングとは?

ビジネス

ラストワンマイルを自社で手がけているのが強みに

加えて、ブルーシールが沖縄県民と接する機会が日常的にあり、それが他のブランドには真似できない差別化ポイントになっていると山本氏は続ける。

「75年商売をやってきて、沖縄県民にとっては身近なブランドになっているわけですが、特徴的なのは『ラストワンマイル(事業所から消費者に商品を届ける配送)を自社でやっている』ことです。セールスドライバーが商品を届けるのはもちろん、ブランドのマーケティングや販促、販売、製造まで全て自社で内製化しています。

今はおよそ従業員数が約260人ほど在籍していて、そのうちの99%が沖縄県出身。これはハーゲンダッツやサーティワンといったアイスクリーム専門店の会社よりも多いんです。つまり、沖縄だけで勝負するというニッチャー戦略を立て、他社が幅を利かせる県外へと積極的に出ていくチャレンジャー戦略はあえて取らないようにしているんですね」

「ロゴに価値が蓄積されるか」を重視したブランディング

そんななか、山本氏が重要にしているのが「ブランドのロゴに価値が蓄積されていく」ことだ。マーケティングにおいてはそれこそ、広告費をかけてタレントを起用し、認知度を拡大していくこともできるわけだが、「ブランド毀損につながることは絶対にしない」と断言する。

フォーモストブルーシール株式会社 代表取締役社長の山本 隆二氏 インタビュー2

「『ブルーシールとコラボしたい』という要望を毎月のようにいただくんですが、あくまで売り上げや利益目的ではなく、一番は『ブランドが強くなるか』を重要視しています。また、ブランドの力を使って沖縄に貢献することも非常に大事な要素のひとつです。コロナ禍では沖縄に来る観光客が激減し、一次産業を営む事業者も大きな痛手を食らいました。

そうした状況に、何かブルーシールとして支援できることはないかと考え、収穫して余っている黒糖や紅芋を買い取り、アイスバーなどの新商品開発の原材料に使用しました。そのほか、沖縄を拠点に事業を営むスタートアップとも連携したりと、『沖縄の企業が元気になる』と思えれば、進んでコラボしていくのを心がけていますね」

ブルーシールとソフビシリーズ「FLAVORS」がコラボした商品

ブルーシールとソフビシリーズ「FLAVORS」がコラボした商品

連続テレビ小説「ちむどんどん」、トランプメーカー「BICYCLE」、ソフビシリーズ「FLAVORS」など、コラボ先もユニークなものが多い。

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