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東京駅〜成田空港わずか30分で結ぶ「成田新幹線」幻と消えた計画の顛末

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なぜ、成田新幹線は幻と消えたのか?

空港 海外

 東京近郊で最大の国際空港といえば、千葉県にある成田国際空港だ。しかし、東京から向かうとけっこうな時間がかかってしまう。電車の場合、東京駅から成田空港駅までは、JR・成田エクスプレスを使っても50分以上かかる。こうしたことから、成田国際空港に対しては、「不便な空港」というイメージが定着している。

 だが、じつは、東京駅から成田空港までの所要時間が、現在よりも大幅に短縮される計画がかつては存在していたのである。その計画がスタートしたのは、1971年。東北新幹線や上越新幹線の整備計画とともに、東京駅と成田空港を結ぶ成田新幹線の整備計画が決定されたのだ。所要時間はなんと30分。現在の約半分の時間だ。

 計画によれば、成田新幹線は東京駅と成田空港駅を結ぶ全長65キロメートルの路線で、東京駅、千葉ニュータウン駅(仮称)、成田空港駅の3駅が設けられる。東京駅から成田空港駅までノンストップの電車なら30分、途中駅の千葉ニュータウンに停車する電車でも35分という所要時間で、1日90本の電車が走る予定だった。完成予定は1976年。これによって、東京と成田空港の間は一気に近づくはずだった。

 計画決定の翌年の1972年には、成田空港内と東京ターミナルの一部の工事が着工された。ところが、それから間もなく大きな問題が発生した。成田新幹線のコースの多くは住宅密集地にあり、新幹線による騒音や振動が生活を脅かすのではないかと不安視する声が強くなった。そうした声を受けて、沿線住民や自治体による反対運動が起きたのだ。

東京駅~成田空港わずか30分で結ぶはずが…

 たとえ騒音や振動に悩まされるとしても、新幹線の恩恵が得られるのなら、彼らも多少はガマンする気になったかもしれない。だが、途中にあるのは千葉ニュータウンの駅だけで、それ以外の地域では新幹線はただ通り過ぎる存在でしかない。住民にとってメリットはほとんどないため、反対運動は激しさを増し、用地の買収も満足に進まなくなってしまった

 工事は大幅に遅れたものの、それでも1983年5月までに成田空港駅や一部の高架橋、トンネルなどが完成した。しかし、そこから先の工事は凍結。そして、国鉄が分割民営化によってJRになる際に、成田新幹線計画も立ち消えになってしまったのである。こうして幻に終わった成田新幹線だが、建設済みだった設備の一部をJRの成田エクスプレスと京成電鉄のスカイライナーが使用しているのである。

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