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2度目の緊急事態宣言が発令。前回との違いと、3つの重要ポイント

コラム

大企業以外のBCP策定は遅れている

消毒

 今回の宣言下での企業のBCP(事業継続計画)はどうあるべきか。金融機関などで感染者が出た場合には、濃厚接触者の疑いがある従業員の自宅待機や支店内の消毒、代替要員の確保などの対応等を速やかに行う必要がある。そのうえでようやく早期の業務再開が可能になる。

 これまで私は青年会議所等でBCPの講師を務めてきたが、中小企業や個人事業主におけるBCP策定は、大企業に比べてかなり遅れている。そもそも策定していない企業が多いのだ。特に新型コロナウイルスのような感染症をBCPに盛り込んでいるところは皆無に近かった。

 そこで、コロナ禍における企業BCPの重要なポイントを3つに絞って考えてみた。

(1)地震などの自然災害と共通の対応は多いが、人的・物的資源が想定より不足する事態になることを事前に標準化すること。リスクとなる事態になった場合はどうするのかについて、すなわち想定外の時のセーフティーネットをきちんと用意しておく

(2)いわゆるトリアージ化を推進する。すなわち優先して行うことは何か、それに必要な人や物を考えておくことだ。そのために、優先度の高い業務継続事項の早期再開・復旧に従業員が集中できるよう、リスク時に中断しても影響がない業務をきちんときめておく。

(3)従業員などステークホルダー全体に対して、組織のBCPをわかりやすいように提示すること。対応を従業員が適切に把握していないと、迅速に事業の回復ができない。そのための組織やステークホルダーを合わせた訓練が事前に必要である。この環境下ではZOOM等を利用したオンラインでの訓練が有効だろう。

 当分のあいだ新型コロナの感染拡大は続くだろう。企業におけるBCPにコロナ対策を盛り込むことは最重要な対策である。

<TEXT/防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹>

防災・危機管理アドバイザー、医学博士。専門分野は新型コロナウイルス対策、企業危機管理、災害医療、自然災害における防災対策・被災者の健康問題等。企業や自治体の人材育成にも携わっている。個人サイト「防災・危機管理アドバイザー 古本尚樹

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