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「好きを仕事に」の呪いを解こう。知るべきは情熱の持ち方<鈴木祐×ときど対談>

学び

10年後を計画するよりも大事なこと

ときど×鈴木祐

――未来を計画するよりも仮説検証を繰り返すほうが大事ということでしょうか?

ときど:人って結局「今」のことしかできない。たとえば10年後を想像してある程度「こうなりたい」というものを考えても、それはあくまで「今何をすべきか」を方針づけるものに過ぎないかなと。

鈴木:だいたい、10年先のことなんか考えてもたいていその予想は外れます。専門家の予想だってチンパンジーのダーツ投げと同じ正確性しかないというデータがあるんですから。それよりはときどさんのように仮説を持っていろんなものを試してみるという、「仮説検証体質」を真似した方がいい。仮説を立てるためには好奇心が大事。いかに疑問を持つことができるか。

ときど:格闘ゲームでも攻略が上手い人は仮説検証体質の人が多いですね。そういう人は環境や仕事が変わったとしても通用すると思います。

 周りの目が気になる人もいるかもしれませんが、うまくいかなくても「ダメだった」ことが証明されるだけ。いざ大事な場面で大きなミスをしないためにも、身近なところで小さなミスをたくさん経験しておくことは得でしかないですよ!

【ときど】東大卒のプロ格闘ゲーマー。本名:谷口一(たにぐち はじめ)。1985年生まれ。麻布中学校・高等学校、東京大学工学部卒業。同大学院工学系研究科マテリアル工学専攻中退。2010年、日本で2人目となる格闘ゲームのプロデビュー。しかし2013年ごろから、eスポーツ業界の環境変化により、大スランプに陥る。試行錯誤の末、これまでの「ときど式」の戦い方を捨て、ゼロからやり直すことを決断。その後見事に復活し、2017年最大の世界大会Evolution(EVO)で優勝、2018年カプコンプロツアーで年間ポイントランキング1位、EVO準優勝。以降安定して好成績を残す。2019年、ロート製薬、ソニー・ミュージックエンタテインメント、大塚食品、QANBAとのスポンサー契約を発表

【鈴木祐(すずき・ゆう)】新進気鋭のサイエンスライター。1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数

<取材・文/村上杏菜 撮影/山川修一>

インタビュアー、ライター。会社員、イベントコンパニオンを経てライターに。スピリチュアルから金融まで幅広いジャンルで記事の取材・執筆、ブックライティングを行う。動画撮影におけるインタビュアーも。Twitter:@ponjou 公式サイト「anna-murakami.com」更新中

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