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伝説の風俗ライター・松沢呉一が語る「ウェブマガジンの宿命」

学び

「ただただ書きたいことを書いています」

松沢呉一

性風俗についての著書。本人も「好奇心だけは衰えない」と言う

「私というライターに興味があるのではなく、あるテーマについて読みたい人が登録することもあるのですけど、その数は少なくて、毎月、同じくらいの数の人が講読をやめますから、プラマイゼロで、ずーっと横ばいです。

 ネットでは今、流行っているモノや、読者がある程度知っていることについて書いたほうが、PVが取れる。広告収益のサイトだったらそれでいいんだけど、有料登録の方法だと、ある段階からPVは登録に直結しないことに気づいて、今は本来の自分の路線に戻って、ただただ書きたいことを書いています。人が見向きもしないほうへ、しないほうへと(笑)」

 月に50本くらい更新していて、好奇心だけは衰えないので、それに従って書いているだけで、本数が多くても少なくても売り上げは一緒です。売り上げを増やすには、書いたものを本にするとか、電子書籍にするとかの二次使用しかないんですけど、オレは書くことが好きなのであって、書いたらどうでもよくなるので、それをまとめ直したりすることに興味がない。まあこのままでいいかなと」

現在の収入と生活スタイル

松沢呉一

松沢呉一さん

 現在はウェブマガジンの購読料と、SM雑誌『スナイパーEVE』での連載をベースに、月収十数万円で一人暮らしを続けている。

「たまには本が出たり、単発の原稿を依頼されたりはするので、それでなんとか補ってはいるけれど、カツカツですよ」。温かな家庭を持ち、十分な収入を手にするという“世間的な幸せ”とは遠いところにいるようにも見えるが、今の生活に十分満足しているという。

「マイペースな人間なので、人と一緒に住むのは昔から苦手なんです。3日が限界です。東京にいれば、寂しいときは友達とメシを食ったりカラオケに行ったりすればいい。年を取っても、独身者同士は夜中でも遊んでいられるし、なんのかんのと常に若い友だちもいる。早い時間は、公園にいる子どもらと遊んでいる(笑)。一生遊んでいたいというのが若い頃からの夢だったので、その夢は叶えられているんじゃないかな」

 年を取ってからも、「一人暮らしのほうが気楽で幸せだ」と言い切る。

「子どもや孫に囲まれる幸せというのももちろんあるでしょうけど、世の中には家族関係が面倒くさいと思う人間がきっと5%ぐらいいて、オレは間違いなくそっち側の人間なんですよね。子どもや孫がいたとしても、どうせ正月しか帰ってこないし、おじいちゃんウザい、クサいって言われているところしか想像できない(笑)」

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