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「自分、負けに向かってるな」髭男爵が見た“一発屋芸人”前夜

暮らし

「本当にありがたいな」と思っている、あの番組

――今後も“一発屋芸人”は増え続けるのでしょうか。

山田:いや、そろそろ一発屋は生まれないんじゃないかっていう気がしていて。一発屋芸人って毎年頭数が増えるなか、ブレイクの高度が低くなって飛距離は短くなっている。

 それと番組の制作側の方々も、“一発屋”というギミックを「旬じゃない」とか「売れてない」という感じでは使わなくなって来ている流れもあるので。

――すでに“一発屋芸人”という扱われ方ではなくなって来た、と。

山田:だから、毎年元旦にやっている『東西ネタ合戦』(『戦笑いの王者が大集結!ドリーム東西ネタ合戦』、TBS系)とか本当にありがたいです。“今ちょうどいい芸人”という言い方を発明してくれた。

 面白い言い方、今までになかった切り口だと思います。社交が苦手なのもので、あの番組のスタッフさんと懇意にしているわけでは全くないですが、やっぱりスゴいなと思いますね。

おじいちゃんになっても「○○やないか~い!」を続けたい

髭男爵

書く仕事については、お声がかかる限りは続けたい

――では最後に山田さんの今後のヴィジョンを聞かせてください。

山田:書く仕事については、お声がかかる限りは続けたいと思っています。コンビとしては、“貴族のお漫才”に拘っていきたい、行くしかないと思ってますね。

 70歳とか80歳のお爺ちゃんになって「○○やないか~い!」とかやってたら、たとえ間が悪くなってたとしても面白いと思うので(笑)。逆に言うと僕らは「まだやっとるんかい!」っていういばら道を進むしかない。

 あとは娘が成人するまで飯を食わしてあげたいとかくらい。僕は趣味が本当にない人間なので、娘が唯一の癒しみたいなところもある。娘の成長を楽しみにしながら、機嫌よく生きていけたらと思いますね。

<取材・文/鈴木旭 撮影/山川修一>

【山田ルイ53世】
本名、山田順三。お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。1975年兵庫県出まれ。地元の名門・六甲学院中学校に進学するも、引きこもりになる。大検合格を経て、愛媛大学法文学部に入学・中退。99年、ひぐち君と髭男爵を結成。主な著書に『ヒキコモリ漂流記 完全版』 (KADOKAWA) 『一発屋芸人列伝』(新潮社)などがある

フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中

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