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退職代行「モームリ事件」 弁護士法人・オーシャン代表弁護士に1年6か月の有罪判決 裁判官「法曹の後輩として大変残念」

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退職代行サービス「モームリ」をめぐる弁護士法違反事件で、東京地裁は6月5日、法律事務の紹介を違法に受けた罪などに問われていた弁護士に対し、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

この判決により、退職代行業界にどのような影響があるのか。また、利用者がサービスを利用する際に注意すべき点はあるのか。島田さくら弁護士に話を聞いた。

Q1. 今回の判決をどのように評価していますか?検察側は懲役1年6か月を求刑していましたが、量刑にはどのような意味がありますか?

今回の判決は、弁護士が非弁業者と結びついて、弁護士以外の者から事件の紹介を受けて対価を支払ってはならないという法律を逸脱した行為について、刑事責任を認めた点で妥当なものだと評価できます。

懲役1年6か月(執行猶予3年)という量刑については、報道上、弁護士法違反以外の起訴内容が明らかではないため、この部分がどの程度影響したか不明ではあるものの、弁護士自ら、事件の紹介を受けるというメリットを享受するための仕組みを考案し、労働組合を介して賛助金名目で金銭を支払う方法を構築するなど主体的に関与した点を踏まえると、悪質性は高いといえます。

一方で、反省や寄付といった事情を考慮して実刑回避した点で、バランスの取れた量刑といえるのではないでしょうか。また、形式的に紹介料の形を避けたとしても違法となり得ることを明らかにした点で、業界への警鐘としての意義も有しているといえます。

Q2. 今回の事件では具体的にどのような行為が問題視されたのでしょうか?改めて「非弁行為」との関係について教えてください。

 「非弁行為」というのは、弁護士資格を持っていない者が、退職交渉など弁護士のみが取り扱うことができる法律事務に関与することを指します。退職代行の適法性については、以前から議論がありましたが、本件で問題とされたのは、民間業者による非弁行為そのものではなく、弁護士でない者が弁護士に事件を紹介して対価を得た点、すなわち「非弁提携」にあります。

一般の業種では、案件の紹介について対価が支払われることは広く行われていますが、弁護士業務については禁止されています。これは、紹介による利益構造が生じると、弁護士が依頼者ではなく紹介者の利益を優先して行動するおそれがあるためです。

Q3. 今回の判決によって、退職代行サービスそのものが違法と判断されたわけではないのでしょうか?

 はい。本件判決は、民間業者による退職代行サービスそのものを違法としたものではありません。

問題とされたのは、法律事務への関与の在り方、とりわけ非弁業者からの違法な事件紹介や報酬構造です。「退職の意思を単に伝達する」など、限定的な事務連絡の範囲にとどまる場合には、弁護士資格がなくても直ちに違法とはなりません。

一方で、実務上は有給取得や損害賠償の問題などをめぐって交渉が必要となる場面が多く、そのような場面で民間業者が伝達の範囲を超えて交渉に関与した場合には、非弁行為として違法と判断される可能性があります。

Q4. 違法な業者に退職代行を頼んでしまった場合、会社から「損害賠償」を請求されるリスクはあるか?

違法な退職代行業者を利用した場合であっても、それだけで直ちに利用者が会社から損害賠償請求を受ける可能性は通常高くありません。退職の意思表示自体が当然に無効となるわけではなく、仮に形式的な問題があったとしても、それが直ちに会社の損害発生と結び付くことにはならないためです。


島田さくら 弁護士(東京弁護士会所属)

アディーレ法律事務所。
退職代行、不当解雇、パワハラなどの労働問題全般に精通。在日ASEAN加盟国大使館の領事担当官に対し、民間の法律事務所初となる労働法講演を行った実績を持つ。TVやラジオ、雑誌などメディアの出演歴も長く、幅広い分野への対応力にも定評がある。

アディーレ法律事務所HP: https://www.official.adire.jp/
画像:PIXTA


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