「家庭用タバコ専用スモーククリーナー」登場!“最後の分煙空間”に参入した企業の勝算

2020年4月に全面施行された改正健康増進法の施行によって、公共空間での分煙は大きく進んだ。喫煙所の撤去や屋内禁煙が進む一方、喫煙者の”吸う場所問題”は家庭へと移行した。そうした中、業務用喫煙ブースを手掛けるエルゴジャパンが、家庭用タバコ専用スモーククリーナー「スモークゼロ」を発売した。なぜ同社は家庭向け市場への参入を決めたのだろうか。
業務用喫煙ブースから家庭向けに転用

同社が発売した「スモークゼロ」は、タバコの煙を発生源で直接吸引する卓上型のスモーククリーナー。一般的な空気清浄機のように部屋全体の空気を循環させるのではなく、喫煙時に発生する煙や臭いをその場で処理することを目的としている。

一般的な空気清浄機が部屋全体の空気を循環させながら浄化するのに対し、スモークゼロは本体中央の吸引口から煙を吸い込み、その場で処理する。エルゴジャパンはこの方式を「1pass除去」と呼んでいる。

搭載するのは、H14 HEPAフィルターと高圧縮カーボンフィルター。0.1〜0.2ミクロンの微粒子を99.995%以上捕集し、ニコチンやアクロレインなどの有害ガスについても「不検出レベル」まで除去できるとしている。
スモークゼロには、同社が業務用喫煙ブースで培ってきた煙の吸引・処理技術が応用されている。開発では家庭向け製品としての小型化に加え、フィルターの耐久性向上にも取り組んだという。

発表会に登壇した愛煙家でもあるジャーナリストの堀潤氏は、「パッと見はコーヒーメーカーのよう。パソコンデスクの隣に置いておいても違和感がない」と、コンパクトかつ日常に溶け込みやすいデザインについてもコメントした。
価格は14万8,000円。2026年5月20日から自社サイト、Amazon、楽天などで販売を開始した。まずはECを中心に展開し、市場の反応を見ながら販路拡大を検討していくことも検討されている。
時代の流れによって生まれた市場への挑戦

エルゴジャパン スモーククリア営業部の福田裕二本部長は、「改正健康増進法後、規制によって困っている個人の方から、家庭内喫煙について問い合わせが度々ありました。本製品はそういったニーズに向けて開発しました」と話した。
堀潤氏は、「モラルだけでは長続きしない。喫煙者と非喫煙者の間を調停する、具体的なインセンティブが必要だ」と語った。同社の調査では、喫煙者の約7割が「家族に配慮している」と回答している一方、非喫煙者の半数以上が受動喫煙リスクへの不安を抱えているという。互いに気を遣っているのに、認識がすれ違っている。その”ねじれ”を、技術で埋めようとしているわけだ。

市場規模として見ると、厚生労働省の「令和5年国民健康・栄養調査」によれば成人喫煙率は15.7%。全国の喫煙者数はおよそ1,500万人に上る。仮にその1割が本製品に関心を持ったとすれば、150万人規模の潜在顧客が存在する計算もできる。これまでBtoB領域で喫煙のモラルを守り続けてきたエルゴジャパン。新たな家庭内分煙という市場で、どのような存在感を放っていくのか注目だ。
文:bizSPA!編集部