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M-1敗者復活戦で輝いたコンビ3組。ラストイヤーと2年目の“新旧尖りコンビ”も

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わずか2年目の女性コンビの衝撃

ヨネダ2000

ヨネダ2000

 また、唯一の女性コンビにして多大なインパクトを残したのが「ヨネダ2000」のふたり。

 2020年結成と、まだ2年足らずながら、12月13日に開催された女性芸人の賞レース『THE W 2021』では決勝に出場。もともと、ふたりは芸歴1年目の2018年にコンビを結成、その後トリオ編成になり、メンバー脱退によってコンビに戻り、現在の名前になったという経緯はあるが、それでも日の目を見るのが早すぎるぐらい、才能に秀でたコンビだ。

 敗者復活戦で行われたネタは、Twitterでもいまだつぶやきが止まらない「YMCA寿司」というネタ。体格がよく、ひときわ目立つ見た目の愛(ツッコミではなく「お手伝い」という役割らしい)が、かの有名曲「YMCA」をひたすら歌っている間、ボケの清水亜真音がひとりで寿司屋の大将、外国人の客、強盗、Def Techになりきり寸劇を行う……と書いているこちらも混乱する構成で、“お笑い慣れ”した視聴者に新鮮な感覚を植え付けた

 コンビ結成から決勝初出場までの最短記録は、『M-1グランプリ2020』で準優勝した「おいでやすこが」の1年4か月だが、ユニットコンビ以外での最短記録として、来年は彼女たちの朗報を聞きたい。

「努力したら天下取る」と言われる逸材

マユリカ

マユリカ

 ほかにも、「マユリカ」は挙げておきたい。芸歴11年目になる、大阪・よしもと漫才劇場ではおなじみで、ハイトーンボイスのツッコミの中谷と、平熱で淡々とボケ続ける阪本からなるふたり。

 ちなみにコンビ名の由来は、阪本の妹が「マユ」で中谷の妹が「ユリカ」だったことから組み合わせて命名。見取り図の2人から何度もそのエピソードを聞かれ気持ち悪がられる“お約束”がある。

 敗者復活戦で見せたネタは「ドライブデート」と、以前和牛も題材にしていたテーマだが、中谷が“ポジティブでやかましい彼女”に憑依し、ボケの阪本とのテンションに差をつけるなど、4分間見ていて全く飽きがない

 先輩であるニッポンの社長・辻からは「ハングリー精神のない才能だけのコンビ」と揶揄されつつも、「こいつらが努力したらきっと天下取る」と評されるなど、準決勝で終わるコンビではないことは周囲も認めている。

 2020年、国民審査において「ネタは別としてただ好きだから」投票される傾向があったことにより紛糾が起きていたが、2021年も「ハライチ」がタイムオーバーしたにも関わらず決勝に進出したことで議論が巻き起こっていた(タイムアウトの音にボケの澤部が「ボカーンじゃねえ! うるせーバカ!」とネタの一部にもしていた)。

 何が起きるかわからない場所だからこそ、よりネタを強固にしなければならないし、実際にどのコンビも決勝組と遜色ないほど仕上げている印象だった今年の敗者復活戦。もう早くも来年が待ち遠しくなっている。

<取材・文/東田俊介 撮影/藤井洋平>

大学を卒業後、土方、地図会社、大手ベンチャー、外資など振り幅広く経験。超得意分野はエンタメ
Twitter:@shunbini

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