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“日当2万6400円”内閣参与を、石原伸晃氏が辞任した経緯。参与は落選者の失業対策なのか

ビジネス

もし手当てがなくなった場合は

 2009年に大量の当選者を出した民主党は、2012年の衆院選で一転して大量の落選者を出しました。落選すれば、次の日から無収入です。政治家を続けたくても食べていけないのならば、政治家の道を断念せざるを得ません。自分一人なら何とかなるかもしれませんが、養う家族のいる人は続けることはできません

 そうした事情から、政権を奪還された当時の民主党は次の選挙に向けて活動する落選者に対して月50万円の活動資金を支給していました。月50万円という金額だけを見れば、高待遇のように思えるかもしれません。しかし、その資金で衣食住を維持するだけではなく、次の選挙に向けて活動をしなければなりません。とても十分な金額とはいえません。

 月50万円は活動資金としては少ないのですが、それでも落選者にとって再チャレンジにつながる手当でした。仮に、こうした手当をなくせば、政治家を目指す人たちは企業・団体からの献金に頼ることになります。企業・団体献金に依存する政治家が、果たして国民のほうを向いた活動ができるのでしょうか? 答えは明らかでしょう。

何でもかんでも無駄遣いと断じてしまうと…

岸田文雄

阿佐ケ谷駅前には、岸田文雄首相も応援演説のために駆けつけた

 政治とカネの問題は、昔から繰り返し議論されてきました。政治家が国民を蔑ろにし、私腹を肥やすことは許される行為ではありません。その一方で、政治には金がかかるのも事実です。

 政治家には、きちんとした報酬と経費を出し、しっかり働いてもらう。結局のところ、それしかありません。何でもかんでも無駄遣いと断じて、政治に関連する金銭を削減・廃止してしまえば、政治家は金持ちしかできない職、ヒマを持て余した人しかできない職になってしまいます。そんな人たちばかりに任せれば、回り回って国民に不利益をもたらすことになるでしょう。

 税金のムダ遣いと思えるような政治をなくすには、結局のところ、自分が一票を託した議員といえども厳しい目で接し、一挙手一投足に目を光らせることしかありません。そして、厳しい意見でも政治家に伝えていくことです。私たち一人一人の意識と行動の積み重ねが、政治をよくする数少ない手段なのです。

<取材・文・撮影/フリーランスライター 小川裕夫>

フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある
Twitter:@ogawahiro

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