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西武は大苦戦、東急はまだマシ。首都圏私鉄7社のコロナ苦境の業績を解く

ビジネス

羽田空港駅の旅客が6割弱の京急電鉄

京急

横須賀を走る京急の列車

 京急電鉄は泉岳寺・品川を起点とする鉄道です。なじみのない人には羽田空港へ向かう路線と思われがちですが、浦賀を終点とする路線が本線で空港方面は分岐線です。さて、2021/3期の業績ですがこちらも京成同様、業績は悪化しています。

 営業収益は2020/3期から3128億円⇒2350億円と25%減少し、営業利益も295億円⇒-184億円の赤字に転落しました。スーパーをメインとする流通事業や不動産事業は十数%の減収に留まった一方で、交通事業は京成とほぼ同じく35%減少しています。特に羽田空港駅の旅客は6割弱も減少したようです

 ちなみにホテルなどのレジャー・サービス事業は42%も減収しましたが、今期収益は226億円と業績全体に対する割合はあまり高くありません。最新の2022/3期1Qの営業収益は会計基準変更のため単純比較できませんが、他社同様コロナ以前の水準には達していないようです。

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 鉄道会社は主要の運輸事業の他、デパートやスーパーなどの流通事業、レジャー事業や不動産事業を展開しています。多角経営はリスク分散になるはずですが、コロナ禍では外出自粛によって鉄道、デパート、レジャー施設全般の利用客が減少したため、どの事業も業績が悪化しました。

 会社別で比較すると流通業は百貨店の依存度が高いほど業績が悪化しやすく、運輸事業はおおむね2~3割の減収という傾向が見られます。今後についてですが、コロナが収束しても鉄道事業は以前の90%程度までしか回復しないという意見もあり、コロナ以前の水準には戻らないかもしれません

<TEXT/経済ライター 山口伸>

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー

Twitter:@shin_yamaguchi_

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