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Xデーに向けて荒れる相場でも狙い目「黒字転換株」4選。人気アナリストに聞く

コラム

ブレ相場でも、マイルド投資で、資産を2倍に!

 そんな調整相場を迎えても、馬渕氏がおすすめする手堅い買い方がある。赤字から黒字に転換する手前で買って、株価が2倍になった時点で売る「黒字転換2倍株」だ。

「もともと業績が赤字なので割安で購入できます。また、値下げのリスクも小さくて済みます」

 そこで、今後のブレ相場でもおすすめの黒字転換2倍株を聞いた。

「黒字転換2倍株を見つける手順として、まずは四半期の決算をチェックしていきます。機能性フィルムを開発しているKIMOTO(東1・7908)の場合、2020年6月の営業利益と経常利益はどちらも25億円の赤字で、同年9月は営業利益が13億円、経常利益が11億円と、改善されつつあるものの赤字であることには変わりません。ですが、12月の3期目と、翌2021年3月発表の本決算では一転、営業利益と経常利益、どちらも2期連続で黒字になっています

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主な事業は機能性フィルムの開発。通期の決算から売上高と経常利益を比較すると利益率が高まっているのが読み取れる。「社会のニーズを捉えて抗菌・抗ウイルスフィルムを開発し、需要拡大を図っている点も高評価ポイントです」(馬渕氏)

 続いて、通期決算に目を向ける。

「2021年に黒字転換しているのがわかります。また、経常利益と売上高から2018年と2022年の利益率をそれぞれ計算すると、2018年は4.9%だったのに対し、2022年の予想では7.6%と、64%も高まっていることがわかります。ここから、高利益体質の骨太な企業に変貌しつつあることが読み取れます。このまま堅調に業績を伸ばせば、2018年の株価を超えてくるかもしれません。バーコードリーダーを開発するオプトエレクトロニクス(JQ・6664)を挙げたのも、高利益体質企業という理由からです」

 営業利益や経常利益の赤字企業は、証券会社のスクリーニング機能を使えば容易に検索が可能だ。さらに、リーマンショックと東日本大震災で得た教訓を生かしている貸会議室を展開するTKP(M・3479)も狙い目。

「コロナ禍でいち早く大鉈を振るって事業のスリム化を実施し、350億円のキャッシュを確保。四半期では赤字続きですが、2022年2月の通期決算では経常利益が1億円の黒字に転換する見通し。企業としての底力は抜群なので、四半期の動向を注視したいです」

 コロナ禍で赤字化した企業は多い。それはダイヤの原石なのかも。

馬淵氏の「黒字転換2倍株」4選

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■ TKP(マザーズ・3479)
アパホテルや貸会議室の運営を行っている。昨年3期で黒字転換したが、今年の通期で赤字に転落。「2022年の通期では純利益と経常利益がともに黒字になる見通し。四半期ごとの業績から目が離せない」とは馬渕氏

■ オプトエレクトロニクス(ジャスダック・6664)
電気機器メーカーで、バーコードリーダーのレーザーエンジン世界第2位。国内シェア8割を誇る。「コロナワクチン接種券の読み取り機器にも対応。非接触やキャッシュレスは今後のキーワードでもあります」

■ J.フロント リテイリング(東証一部・3086)
大丸と松坂屋ホールディングスの共同持ち株会社。「コロナ禍で赤字に転落して株価は下落。20兆円以上と言われるコロナ禍での強制貯蓄が、リベンジ消費によって大爆発すれば、コロナ以前まで回復する可能性は大きい」

■ ANAホールディングス(東証一部・9202)
国内トップの航空会社。懸念材料はあるが、底値は切り上がってきている。ワクチン接種後にしたいことの断トツが旅行。来期は黒字予想だが、ワクチン接種がスムーズに進めば、その後の業績回復も期待できる」

<取材・文/キンゾー 図版制作/ミューズグラフィック>

【馬渕磨理子】
“日本一バズる”認定テクニカルアナリスト。著書に『5万円からでも始められる! 黒字転換2倍株で勝つ投資術』(ダイヤモンド社)

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