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アジア系差別が増えた原因はトランプ政治にある。「日本人は大丈夫」ではない

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アメリカではマイノリティが連帯する動きも

jorgefloyd

©Ken Wolter

 2020年5月、ミネソタ州ミネアポリスで、白人警察官によってアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が殺害される事件がありました。ちょうど裁判をやっているところなんですけど、その事件をきっかけに非常に激しくなった「ブラック・ライブス・マター(BLM)」のムーブメントとの、マイノリティという枠での連帯の動き。BLMは、白人など黒人以外の人たちも応援する形で広がっていったムーブメントです。

 日本でBLMに対する反応が鈍い理由もあります。日本に住むアフリカ系アメリカ人はわずか5000人ほどと言われています。音楽や映画などで触れることがあっても多くの日本人は彼らの生活様式、日常を知りません。アメリカで起こっている事が想像できない。

 それを反転した事態が今、アメリカで起きているアジア系へのヘイトクライムの背景です。知らない、だからステレオタイプで判断してしまう。

 BLMに端を発する流れにアジア系アメリカ人の連帯も繋がっていく気配もありますが、もともとの偏見・差別がかなり長い期間、蓄積されてしまっていて、コロナ禍におけるトランプ前大統領等の言説でさらに拡大してしまったので、これがすぐに収まるかというと、そんなに楽観的には見られないのではないかと思います。

日本でも新型コロナに地名を付けて呼んではいけない

 日本でも、病気と地名を結びつけた使い方は、やはり避けなければなりません。

 水俣病や四日市ぜんそくなど、病名と地名を結びつけたがゆえに起こった差別を、その地域の人たちが受けてきた苦しい状況は、日本でもありました。これは、日本人なら知っておくべきだと思います。

 COVID-19を「どこどこウイルス」と、何かしらの感情に基づいて使ってしまっているんだとしたら、そういった態度こそが海を越えたアメリカでは、僕らも含めたアジア系の仲間たちに直接被害として広がっていっていることは明らかです。

 それをまた「日本は関係ない」「アメリカで起こっていることだ」「日本はアメリカと仲がいいから大丈夫だ」のようなレベルでの認識でいると、例えば旅行で行ったとき、すぐに差別や偏見という事態に直面することがあります

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