売上は1日9万円。22歳大学生カップルが開業した「移動式チュロス屋」が流行る訳
飲食店が投稿するSNSにはコツがある
TikTokを始めたのはキッチンカーをオープンさせてからわずか2日目のこと。
「それまではインスタを使って集客していたのですが、『見る専用で使っていたTikTokでも発信してみようか』という話になって始めました。インスタはビジネスアカウントにしていたので、フォロワーはどこに住んでいる人が多いのかわかっていて、僕たちが住んでいる横浜市が多いことがわかっていました。一方で、TikTokは横浜以外に住む方からのフォローもかなり多かったんです」
では、どちらのSNSが集客に貢献したかと聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。
「今はTikTokが集客につながっていますが、どちらがよいということじゃなくて、SNSって結局役割分担だと思うんです。インスタはおしゃれな投稿が人気を集めやすいので、ブランドイメージを作るために使っています。ホームページに近いかもしれません。一方で、TikTokは最初に認知してもらうきっかけとなるプラットフォームだと捉えています」
佐野さんいわく、TikTokではチュロスをおいしそうに撮ることよりも、“動き”に特徴を加えて撮影するほうがフォロワーが増えやすいといいます。
「店舗のカラフルな色を見せたり、チュロスをしぼるなどチュロス屋さん特有のおもしろい素材のほうが好まれますね」
バズリすぎてお店は大混乱に…
こうして、わずか6畳程度のキッチンカーのアカウントは2万9000人のフォロワーを抱えるまでになりました(取材時4月16日時点)。ところが、そのあまりの人気ぶりから急激にお客さんが増えたことで予想外のトラブルも生まれたそうです。
「数日の間でバズった動画が続いたこともあり、お客さんが急激に増え始めたんです。結果、チュロスの生産が間に合わなくなり、15時には売り切れてしまい、数が足りなくなりました(本来、お店は19時まで営業)。そこで、生産体制を変えて、事前に仕込んで冷凍したものを持ってきて、それでも現場で品薄になったときは粉から作れるように素材も準備するようになりました」
今でもTikTokでウケる動画を撮影し続けている2人ですが、何より感じているのはTikTokとグルメの相性のよさだといいます。
「おしゃれというよりも驚きを生むのがポイントです。TikTokでは『おいしそう』という感想だけでなく、『おもしろい!』『実際に見てみたい』『2人に会ってみたい』というコメントがとても多いんです。実際にお店に足を運んだ人は『意外とおいしいですね』と、びっくりされることもあります(笑) 」