コロナで大打撃のアパレル・飲食。同じ業界でも悲痛度に差が…
新型コロナウイルスでパラダイムシフトが起きている。株価の暴落で新興裕福層の中には資産の大半を失う人がいる一方、生活に困っていた層の中には富を掴んだ人も。この災厄で新しい階層と価値観は生まれるのか?
同じ業界の正社員でも天と地の差が
緊急事態宣言を受け、全面休業や限定営業を余儀なくされたアパレル業界。百貨店などのテナントで働くスタッフの大半は自宅待機させられたが、その待遇には大きな差があった。
外資系アパレルブランドの正社員である岩田篤さん(仮名・36歳)は、勤務先の百貨店が休業となるなかで、悠々自適な自粛生活を送っている。
「会社からは自己学習を促されているだけで、基本的には自由に過ごしています。ソファでゴロゴロしながらテレビを見ているだけで今まで通りの給与が100%もらえるんで、5月頭までだった緊急事態宣言が延長されて逆にラッキーですよ」
彼の年収は600万円ほど。こうした手厚い労働環境に守られている人がいる一方で、同じく百貨店のテナントとして営業するアパレル企業正社員の酒井彩子さん(仮名・42歳)は、自宅勤務の飼い殺し状態で、鬱々とした日々を過ごしている。
アパレルの中でも悲痛なのは、派遣店員
「GW明けに、正社員の給与は6割に減給され、有給休暇もなくなりました。休業中にも給料が発生しているんだから、その分を有休に充てるという理屈のよう。乱暴な話だとは思いますが、辞めたい人は辞めていいという、会社の意思を感じます」
事業拡大に合わせて今年4月に大量に入社してきた新卒社員は、入社以来一度も現場に立てていない状況だが、彼ら以上に悲惨なのは、現場スタッフの半数以上を占める派遣社員。全員の雇い止めが決定したそうだ。
「現場が同じ仲の良い派遣社員のスタッフからは、『いつから働けるんですか』などと相談されますが、本社からかん口令が敷かれているので何も言えず心苦しい……。営業再開しても客足が戻るとは思えませんが、社員の私は6割の給料にしがみついて『仕事があるだけマシ』と割り切っていくしかないですね」
アパレル派遣の場合、自宅待機手当が支給されるケースは稀だという。悲痛な派遣販売員たちの声を、経営陣たちは真摯に受け止めるべきではないだろうか。