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野村克也氏と最後に対談した江本孟紀氏「100歳まではいくと思っていました」

超一流に共通しているのは「体の強さ」

――共著のタイトルは「超一流」です。江本さんが超一流だと思う選手、その条件とは。

江本:本当はサブタイトルを「超二流」にしてほしかったんですけどね。後で言ったんだけど、もう間に合わなかった(笑)。でも、やはり我々の世代で超一流と言えば、王貞治さん、長嶋茂雄さん、野村克也さん、金田正一さん、張本勲さんですよ。みんな天才ですし、運もある。そして共通しているのは、半端じゃなく体が強い。やはり故障しない選手は、いい選手です。それが超一流の必須条件です。同じ時代にプレーしながら、僕たちとは明らかに違う、憧れの存在でした。

 あれだけ頑強な方たちですからね。僕は絶対に金田さん、野村さんよりも先に死ぬと思っていました。だから野村さんが亡くなったと聞いても、そんなはずないだろうって一瞬思ってしまいました。100歳まではいくと思っていましたから。

 きっと僕の方が先に死んで、告別式で野村さんが「お前が先か……」とかブツブツ言うんだろうなって(笑)。でも金田さんが亡くなり、共著の対談でも野村さんが「カネさんの次は俺か」と言っていたんです。すかさず僕が「そうですよ。当たり前やないですか」って言ったら、「そうだな(笑)」って。そんな冗談も、もう言えなくなってしまいました。何だかんだ言いながら、亡くなる順番をきっちり守ってくれた律儀な先輩でした。

共著は野球人生において最高のご褒美

江本孟紀氏

――この共著が野村さん最後の著作となりました。この巡りあわせに、思うことはありますか。

江本:近年は野村さんと対談する機会が何度かありました。昔は結構辛口だったのに、ここ数年はなぜか僕のことを褒めてくれるんです。でも、うまく褒めきれないので、僕と門田博光、江夏豊を「南海の三悪人」と呼び始めて、「お前らを扱ったから、他の選手を扱うのは簡単だった」と笑っていました(笑)。

 その話をしている時が、一番うれしそうにしていましたね。この共著は、僕にとって冥途の土産になりました。野村さんの方は冥途に持っていけなかったですけど(笑)。きっと「お前となんか、嫌じゃ」とボヤいていると思います。でも最後の最後に対談ができたのは、僕の野球人生において最高のご褒美になりました。

<取材・文/中野龍 撮影/スギゾー。>

【江本孟紀】
1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、70年に東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。以降、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)、阪神タイガースで活躍。81年、現役引退。92年に参議院議員初当選。2期12年務め、04年に離職。現在は野球解説、講演会、執筆活動などを通じて、野球界の底辺拡大と発展に力を注ぐ

1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿

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