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今だったら軽く1億円は…。江本孟紀が語る「昭和のプロ野球」伝説

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秋山のような職人的な選手が評価されるべき

――書籍では超一流の条件として、野村さんも「無事これ名馬なり」と語っています。江本さんが現役の選手で「超一流」になると期待している選手は。

江本:西武ライオンズからメジャーリーグのシンシナティ・レッズに移籍した秋山翔吾ですね。

 パリーグ初の5年連続で全試合フルイニングに出場して、打率も毎年3割以上。2015年にはプロ野球のシーズン最多安打記録の216本も打っている。地味だけど、イチローに近い成績を上げています。

 でも一般の人は秋山と言っても、あまりピンとこない。こういう職人的な選手があまり評価されず、同じ西武の「どすこい」ポーズの山川穂高、「熱男」ポーズのソフトバンク松田宣浩とか、パフォーマンスばかりしている連中のほうが人気がある。いまの時代、わからないでもないが……。

監督になる気は一切ない

江本孟紀氏

――言いたいことは山のようにありそうですが、監督として自らチームの指揮を執ってみたい気持ちはありませんか。

江本:一切ないですね。クラブチームや独立リーグ、タイのナショナルチームの総監督などをやったことはありますが、あくまでボランティアでしたから。それに、僕は素人ウケしませんので(笑)。

 日本のプロ野球では監督を決めるのは、たいてい球団社長とかオーナーの意向が大きい。でも、申し訳ないけど、彼らは素人。素人に才能を認められるのも、素人を動かすのも、ものすごく難しいですから。

 あと、僕は「ベンチがアホやから野球がでけへん」と言って引退しているでしょ。あれはベンチに対してなのに、球団や球界に逆らって途中で辞めたろくでもないヤツだと思われている。

 引退後に書籍「プロ野球を10倍楽しく見る方法」がベストセラーになったら、あいつは天狗になったと言われたし、国会にスポーツ議員がいないのはおかしいと思って参議院議員になった時も野球界はそっぽを向いて、何も協力してくれなかった。妬みがものすごいんですよ。

 そういう環境では、自分の性格からして監督は無理です。1年も持たないですよ(笑)。

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