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ZOZO買収とPayPayでEC市場に挑む、ヤフーの勝算

ビジネス

本命は二次流通市場にあり?

 ZOZOTOWNのサイトまたはアプリを使っているユーザーの利用が特徴的に多いアプリは、SNS、フリマ、ECやファッションが並び、若い女性らしいラインナップ。1位Instagramや3位TwitterのSNS、14位WEAR(ZOZOTOWNのファッションメディア)で情報収集してZOZOTOWNや4位楽天市場、5位Amazon、7位UNIQLOのECあるいは2位メルカリや11位ラクマでお買いもの。気に入ればSNSで自慢し、飽きたらまたまたフリマへ出品して次のお買いものへ……といったサイクルでしょうか。

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図表15 ZOZOTOWNユーザーの利用が特徴的に多いアプリ(2019年9月。黄緑はSNS、水色はフリマ、ピンクは総合EC、黄色はファッション関連)

 現時点では上位にランクインしていないYahoo!ショッピングやヤフオク、PayPay、一休.comなどのZHDグループサービスは、どこまでZOZOTOWNユーザーの生活に入り込み定着できるのでしょうか。

 本質的に狙うべきはむしろ、ここ数年で急拡大する二次流通市場=フリマかと考えると、PayPayフリマ投入が腹落ちします。メルカリに流れるYahoo!ショッピングユーザー43%、やZOZOTOWNユーザー59%の中古品売買ユーザーを取り込めれば、広義ECにおけるPayPay経済圏の「ナンバーワン」が夢ではないかもしれません。

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図表16 Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNユーザーの併用二次流通アプリ(2019年4-9月)

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 ZOZOの物流網を活用できれば、Amazonより割高なYahoo!ショッピングの送料が減ったり、当面続きそうなPayPayやYahoo!会員、またソフトバンクとの連携キャンペーンで、ZOZOTOWNユーザーもポイントをゲットできたりしそう。もちろんAmazonはAWSという稼ぎ頭を原資として、音楽・動画コンテンツそしてエコーやダッシュといったD2Cチャネルを武器に、楽天はZHD同様の金融や旅行、(出遅れているものの)通信事業など総合的な決済とポイントシステム、そして手厚い出店者サービスを武器に、Yahoo!+ZOZO連合を突き放そうとするでしょう。

 他方、総合ECと一線を画しD2Cチャネル強化を図るブランドの動きも活発で、例えばユニクロは現在11.6%のEC率を30%まで上げ「ECを本業に」する計画。自社製造販売なので、そもそも送料も手数料も0円という強みがあります。

 様々なレイヤーで繰り広げられるECバトルに決済や通信が統合され、市場はどこへ向かうでしょうのか。いずれにせよ、消費者にとって、ありがたい競争時代であることは間違いありません。

<TEXT/清水響子>

法政大学院イノベーション・マネジメント専攻MBA、WACA上級ウェブ解析士。CRMソフトのマーケティングや公共機関向けコンサルタント等を経て、現在は「データ流通市場の歩き方」やオープンデータ関連の活動を通じデータ流通の基盤整備、活性化を目指している

【調査・分析データについて】
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズが提供する、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用しました。データはヴァリューズ保有のPC&Androidスマートフォンモニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に換算して推測しています。

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