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求人は多いけど…危ないブラックIT企業を見分ける3つのポイント

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2)「裁量労働制」は長時間になりがち

 2つ目の「裁量労働制」について、米村氏は「これは業種によって違いもあると思いますが」と前置きしたうえで、次のように分析。

「IT業界で裁量労働制を採用している企業は、残業代をカットするために導入している場合がほとんどです。もちろん優秀な人材がのびのびと働けるメリットもありますが、ほとんどは残業だらけで長時間労働になりがちです。気になる方は、企業の説明会などで、それとなく聞いてみるといいでしょう」

 もしも入社した会社が裁量労働制のブラック企業だった場合、残業代が1円も出ないのに終電はおろか、繁忙期は会社で寝泊まりするなんてことになりかねない。

3)「常駐開発」はもれなくブラック企業

疲労

※画像はイメージです

 最後に米村氏が挙げたのは「常駐開発」だ。

「客先への常駐開発を行っているIT企業はもれなくブラックです。常駐開発とは、自社のオフィスではなく、クライアント企業に社員を派遣常駐させるというやり方で、通称・SES(システム・エンジニアリング・サービス)と呼ばれるものです」

 事実、IT系のシステム開発を行っている企業の多くは、この常駐開発に精を出しているところが多い。

「しかし、もしもあなたがSESでありながら、会社都合でクライアント企業に派遣され、他社の人間から指示命令を受けて仕事をしていたとしたら、それは指揮命令系統が客先にあるため、偽装請負の可能性が非常に高い。本来であれば派遣契約でも結んでいない限り、本来客先に指揮命令権はありません。ところが、現状のIT業界では、このような偽装請負が常態化しています。勤務地の表記が都内とか関東近郊のようなざっくりとした場合は要注意です」

 ブラック企業という地雷を踏まないためにはどうすればいいのか。米村氏は「不明な点があれば臆せずに聞きたいことを質問することが大事」だと語る。

「まともなホワイト企業であれば、これら3つのポイントについて、納得のいく回答が返ってくるでしょう。もし変な対応をされたり、不利なことが起きたりするなら、それはホワイトの皮を被ったブラック企業です」

<取材・文/永田明輝>

【米村歩】
株式会社アクシア:代表取締役社長。青山学院大学卒業後、システム開発会社に入社。その後フリーランスの期間を経て株式会社アクシアを設立。ほかのIT企業と同様に残業まみれの会社だったが、2012年に残業ゼロを断行し現在も継続中。2017年にはホワイト企業アワードの労働時間削減部門で大賞受賞。ツイッターアカウント:@yonemura2006

気候変動が進む地球の環境問題どうにかして。そんな雑食系ライター

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