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ネットの噂は超ブラック企業。入社したら実は…中卒女子の実体験

学び

スパルタ時代の上司は異動or退職

「両親に仕送りすると、『無理しないで』と心配してくれますが、事情を説明すると、ほっとしてくれました。両親が安心して闘病できると思うと、モチベ―ションが上がり、それに比例して、どんどん契約を取れるようになりましたね」

 ブラック企業だった時代の上司は、他の関連会社に異動、あるいは退職していたそうです。つまり、「昔は、こうだった」とスパルタな社風を懐かしむ社員が一人もいないことも幸いだったそうです。

「驚いたことに、残業もほどんどない。水曜日はノー残業デイのため、17時で全員退社します。また、スポーツジムや英会話教室へ通うと、補助金がもらえる制度もあったのです。

 私も、英会会話教室やスポーツジムに通っています。会費の領収書を総務に提出すると、半額がバックされるんです。書道や茶道、料理などの習い事にも補助金が出るので、仕事もプライベートも充実しています。田舎の両親も『とても良い会社だ』と喜んでいました」

唯一、残念なのは合コンでの異性の反応

合コン

 ただひとつ、残念なこととして、吉野さんは、合コンや異業種交流会などで、会社名を聞かれて答えると「男性のほぼ全員が引いてしまうこと」と語ります。

 男性からは「悪名高きブラック企業で、生き残っているなんて、バリキャリですね」と誤解されたり、「頑張っている男性社員は、さぞかし高収入でしょう。社内結婚なんていいかも」と皮肉を言われたりするそうです。

「『昔と全く違って、今はゆるいんです~』と言っても誰も信じてくれません。世間の評判を信じるだけで、私をちゃんと見てくれる人がいないとわかって、がっかりしました」

 ホワイトに変貌した会社で実績を積みながら、自分を磨き、家族にも仕送りをし、いずれ余裕ができたら、「みんなで旅行を楽しみたい」と夢を馳せる吉野さん。ただし、恋愛だけはしばらくなりゆきに任せるそうです。

特集・新入社員がおどろいた「入社後ギャップ」

<取材・文/夏目かをる イラスト/小池祐子(@ikeko322)>

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。『週刊朝日』『日刊ゲンダイ』「DANRO」「現代ビジネス」などで執筆。
Twitter:@7moonr

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