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“超二流”のビジネスマンは「恥をかくことを恐れない」

学び

失敗経験を積むサイクルを自分から作る

 ネガティブなことであっても、自分の身に起こったことは、全て自分の実になっていくものです。どうしても嫌なことがあったら、ごく親しい友人限定でSNSに面白く発散できれば……そのくらいでいいと思います。

 早く経験を積むためには、少々面倒であっても、なるべく自分の目で見たり、対面で話を聞いたりすることです。そして、なるべく相手のオフィスで打ち合わせをするようにして、あえてアウェイの環境で話をすることです。そうすることで、相手に遠慮なく話してもらえます。

 ネットでコンタクトを取り始めた人にも、なるべく会いに行くようにしましょう。当然のことですが、会うことによって、交換できる情報は圧倒的に多くなるので、ごまかしがきかないからです。外で緊張感を味わうことで、事前に社内や自分自身で十分に議論したり、考えたりして理解を“腹落ち”させる姿勢が、自然と身につきます。

 私生活においても、苦手な場、自分がネガティブな状況に立つ場に行ってみると、心が鍛えられるでしょう。運動が苦手でもスポーツに参加するとか、恥ずかしい瞬間が苦手で面倒くさくても婚活パーティに行ってみるとか、接客が苦手なら週末だけコンビニでこっそり働いてみるのもいいかもしれません。

スマホのメモに書き出して「嫌なことから」実行

スマホ

 私は海外に行ったとき、カジノに遊びに行くことがありますが、負けるとわかっていても行ってしまいます。言い訳をしてしまえば、時間とお金の無駄ではなくて、負けながら冷静に考えたり、運命を受け入れる姿勢が身についてくるからです。

 数千円の無駄遣いなんて、普段よくやっているのに、カジノで負ける数千円はすごく腹が立ちます。一方で、ムキにもなったところで自分の力では何もできません。負の局面を受け入れられないと、周囲を過剰に恨んだり、嫉妬や妬みの感情を強く持ったりするので、これも1つの修行だと思っています(強くおすすめはしませんが)。

 個人的におすすめなのは、今日やることと、明日やることを1枚の紙(スマホでも、メモでも)に具体的に書き出して、嫌なことほど率先して実行し、1つずつ消していくことです。全部消しても時間が余ったときは、少し先の計画を前倒しでやってしまえばいいでしょう。

 いつまでも「どうやったら効率よく成長できるか」という視点にこだわっていると、とにかく行動することで経験量を積んでいく人間に、あっという間に追い抜かれてしまいます。一度、失敗した経験について、「同じようなことってまたあるのだろうか?」なんて思っていたら、すぐに2回目のチャレンジがやってきます。

減点主義の会社では別の論点が重要

 最後に注意すべきことして、恥をかくのは、よほど気を許した相手でない限りは、社内の人だけのときにしましょう。時に意地悪な人が混ざっているので、大勢の前ではなく、少人数のときにしたほうが安全です。

 会社員だと人事評価がどうしても気になり、いわゆる減点主義の会社だと、失敗が許されず記録として残って、給料や役職に反映されてきてしまうリスクがあります。

 結論から言えば、そうした環境にいる場合は、余計なマインドを身につけないほうが良いです。リスクを恐れないマインドにはなかなかなれませんし、不要かつ過剰なリスクは取るべきではないというのが、正解です。ただし、それを人生規模で受け入れるか、否かというのは、また別の問題になります。

 歳を取れば取るほど、自分のしていることや考えていることに対して進言されるアレルギーは増していきます。

 若手のうちから、その本能に逆らって何か言われやすい体質にしておくことで、得るものが増え続け、他人に信頼される柔和な中年、高齢者になっていくのでしょう。

<TEXT/出口知史>

ぬいぐるみの進化版でもあり、小学生に大人気のスクイーズのトップブランドであるiBloom(アイブルーム)を製造販売する、株式会社ブルーム代表取締役社長。東京大学大学院工学系研究科修了後、コーポレイトディレクション、ダイヤモンド社を経て、産業再生機構など3社の投資ファンドにおいて、投資先企業の経営者として複数の会社を連続で再生・成長へと導く。約20年連続で悪化していた老舗企業や5年連続赤字で債務超過に陥った老舗企業などを復活させた。現職では成長から飛躍に取り組む。著書に『困った人の説得術』(日本経済新聞出版社)など

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