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売上ゼロECが年商4億超。異色キャリア社長がEC支援で企業を変える“気付きのメソッド”

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EC市場は右肩上がりを続けている。だが、その波に乗れずにいる企業は少なくない。「ECサイトを立ち上げたものの売れない」「広告費をかけているのに成果が出ない」——そんな悩みを抱える企業に対し、広告の”手前”にある課題から設計し直すEC支援を行っているのが、株式会社六次元だ。

支援に入った美容系企業ではEC未経験・売上ゼロの状態から3年で年商4億円を達成した事例もあるという。代表の泉辰徳さんのキャリアをもとに、現代のEC市場で結果を出すサービスを紐解いていく。

呉服屋、シャネル、楽天、Google——異色のキャリアで培った気付き

大学卒業後、泉さんは呉服屋の営業に就職する。顧客へ着物を売り込むという”アナログ営業”の現場を経ていくうちに、相手の表情を読む力、空気を察する感覚、一手先を打つ勝負勘が自然と身についていったという。

日々売上のプレッシャーを抱えながら業務に勤しむ中、泉さんの胸中でひとつの疑問が生まれる。「着物のように現代において必ずしも必要でない高額商品が、なぜ売れるのか」。その消費行動の背景にある”美”や”自尊心”への関心を深めるべく手に取ったのは、ココ・シャネルの伝記だった。「美」が人の消費行動を動かすという理念に触発された泉さんは、畑違いのラグジュアリー業界へ進むことになる。

シャネルの求人に応募した泉さんは、面接の場でただ一人の男性だった。呉服屋で最年少店長を務めた経歴と、シャネルへの熱量が評価され、採用。配属先は大阪・心斎橋。33人の女性スタッフに囲まれた”黒一点”の日々が始まる。朝の掃除、ディスプレイ、所作、スカーフのアイロンがけ——細部まで”美”を要求される環境で得たのは「型を守ることで育つプロ意識」と「見えない部分にこそ表れる美意識の本質」だった。

「香水をつけていないとブランドを体現していないとみなされる。香りは嗜好品ではなく、身だしなみ。シャネルではそれが常識でした」

“売る”ための営業ではなく、”選ばれる”ための在り方。それがシャネルで得た最大の学びだったという。

シャネルでの経験を経て、泉さんが次に選んだのは、当時圧倒的な勢いを見せていた楽天だった。アパレルやブランド系ショップのECコンサルティングを担当し、新人賞も受賞。だが、ECモール内の施策だけでは限界があると感じ、より広いマーケティングの知見を求めて、外資系IT大手の日本法人へ移る。

中小企業向けの広告コンサルティングに従事する中で、泉さんはあることに気づく。広告を出せばアクセスは集まる。しかし、そもそも誰に何を届けたいのかが定まっていない、商品ページの訴求が弱い、リピートの設計がない——つまり「広告の手前」が整っていなければ、いくら広告費を積んでも売上にはつながらない。

呉服屋で学んだ「営業販売の基礎」。シャネルで体得した「選ばれるための設計」。そして楽天・ITメディアで痛感した「広告だけでは売れない」という現実。これらの経験をもとに、難航するECに向けて支援を行うことを主軸にした、株式会社六次元を2014年に設立する。

広告の”手前”から設計する——六次元のEC支援

六次元が掲げるテーマは「EC支援の幹を太くする」こと。表面的な広告運用やセール施策の代行ではなく、企業の中に”売れる仕組み”を根づかせることを目指す支援スタイルだ。

メインサービスの「EC店長→(EC店長NEXTと読む)」は、六次元のコンサルタントがクライアント企業の中に”EC店長”として参画し、戦略設計から実務まで一気通貫で担うモデル。言わばEC部門への出向だ。外注先として施策を納品するのではなく、企業の内側に入り込んで伴走することで、支援終了後も社内にノウハウが残る設計になっている。

大手ヘアケアメーカーの食品事業の事例では、六次元が支援に入った当時、同事業はローンチ直後で予算も限られていた。その状況に対し六次元は、商品との親和性が高いターゲットの絞り込み、ブランドサイトやLPの改修によるアクセス数の改善、そしてコンバージョン率や客単価を上げるための施策設計——広告の”手前”にある構造を一つひとつ整えていった。結果として、広告費用対効果(ROAS)は300%に改善し、LTVも向上した。事業全体で対前年200%の成長を達成した。

ほかにも、六次元のEC支援という業務領域に対する職能のアップデートは、異なる商材を扱う現場においても着実に成果を出しているという。さらにそれは表層的な施策の代行ではなく、中長期的に力を発揮するチームの実装につながっていく。多様な職場を経験してきた泉さんの多くの気づきによって形成・出力されたメソッドに基づいていると言える。

「EC人材」を育てる——教育事業「ECan」と六次元の次なる挑戦

ECの現場で成果を出すことを証明した今、次に泉さんが見据えるのは“EC支援の枠を超えた新たな経営支援モデル”だ。その起因はノウハウの属人化と人材の流出。現在多くの企業が抱えるこの問題に六次元も直面している。

経験から生まれたのが、EC人材育成プログラム「ECan(イーキャン)」だ。マーケティング視点やIT・メディア戦略の基礎知識を体系的に学ぶ実践型プログラムで、支援の現場で必要とされる力を言語化・可視化し、誰でも学べる形にしている。

泉さんはこう語る。「ネット通販でモノを買うことに慣れていても、モノが消費者に届くまでの裏側やECの全体像を理解している人は少ない。だからこそ、ECマーケティングを学べる場をつくり、業界全体の底上げにつなげたい」。

ECanは、未来の「EC店長→」を育てるだけの事業ではない。どんな業種であっても、”ECの視点”を持つことで仕事の可能性は広がる。その信念を、泉さんは「EC支援の幹を太くする」という言葉に込めている。

六次元の公式サイトの代表挨拶ページには「インターネット世界の経営に必要な4つの要素(管理・倫理・設計・技術)に加えて、経験によって磨かれる「感覚」そこから得られる「直感(第六感ともいわれます)」を大事にしたいという想いを込め、このコミュニティに『六次元』という社名を授けました」と社名の由来が泉さんの言葉で記されていた。

呉服屋、シャネル、楽天、Google——異色のキャリアで磨かれた「感覚」と「直感」という武器を手にする泉さんが、成熟しつつあるEC領域においてどのような次元へ飛び立っていくのか。その道筋と挑戦はまだまだ続いていく。


株式会社六次元

所在地:東京都港区浜松町2-2-15 浜松町ゼネラルビル9F HP:https://rokujigen.co.jp/ 事業内容:ECコンサルティング/デジタルマーケティング/WEB制作

文:土田洋祐


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