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トヨタの新型「クラウン」斬新なデザインは賛否両論。その想いを開発責任者に聞く

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賛否両論の裏には各人の「クラウン像」が

 他方で、「本当にこれがクラウン?」、「クラウンらしくない」といった声も聞かれ、フルモデルチェンジした新型クラウンには、早くも賛否両論が寄せられている。こうした意見について皿田氏は「長年続く伝統のクルマだからこそ、お客様一人ひとりのクラウン像が多様であることに驚く」と話す。

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新型クラウンを体験できる期間限定のポップアップイベントの様子。写真は2022年8月に大阪で行われたときのもの

「クラウンは根強いファンが多く、『こうでなければいけない』という考えが強いクルマだと思っています。だからこそ、それぞれのクラウンに対する印象やイメージはあって当然で、我々開発陣も今回の新型クラウンをお披露目するときは『ワクワクと不安が半分』でした。来年に発表を控えているクロスオーバー以外の3車種については開発中で、多様なお客様に支持されるようにしていければと思っています」

今の時代に本当に欲しいと思えるクルマを

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トヨタ自動車チーフエンジニア・皿田氏

 トヨタにとっても16代目クラウンにかける思いは相当のものだろう。最後に今後の展望について皿田氏へ聞いた。

「消費者志向やライフスタイルが大きく変わっている時代において、1つのボディタイプ(車型)だけでは、クラウンらしさを表現するのは難しい。そう考えていました。当初はクロスオーバーだけでしたが、豊田社長から『セダンもやらないか』と声をかけられました

 そこで、今の時代に欲しいと思っていただけるクルマを目指すには、スポーツやエステートといった形もいかがでしょうか、と逆提案し、全部で4車型の新型クラウンを作ることが決まりました。もちろん簡単ではありませんので上司や多くの仲間に多大な協力をいただきながら進めています。多様なお客様のニーズに応え、選んでいただける『クラウン』を目指し尽力していきたい

 筆者も新型クラウンに試乗させてもらったが、非常に安定感の走りと乗り心地の良さが際立っていた。デザインも光っており、往年の世代から若い世代まで親しまれるのか。16代目クラウンの飛躍に期待したい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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