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なぜ信じてしまう?旧統一教会信者の心理を、弁護士に聞いた

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統一教会の責任を認める裁判所の判決も

裁判

――具体的にはどのような裁判が起こされているのでしょうか。

阿部:1980年代に統一教会の霊感商法がマスコミに取り上げられ、社会問題化します。1987年くらいから統一教会を被告とする訴訟が全国で相次いで起こされています。有名なのは「青春を返せ裁判」で、教団の勧誘方法は「信教の自由」を侵害する違法なやり方だとして損害賠償を請求するものです。札幌地裁を皮切りに、岡山、広島、東京などで次々に提訴されました。

 民事事件では2001年に札幌地裁で「教団の勧誘・教化行為は勧誘される側の信仰の自由を侵害する恐れのある違法なもの」と認めた判決が代表的なものです。これまでに統一教会の責任を認める判決が、全国で多数、積み上げられています。

 裁判所は、これまで、信者が行った不法行為について指揮監督する立場の統一教会も責任を負う、という使用者責任の論理で責任を認めてきましたが、2016年の東京高裁判決は統一教会自身の不法行為責任も正面から認めています。

刑事事件でも違法性を認める判決が

阿部:合同結婚式が話題になったことがありますが、統一教会の信者は恋愛を禁止され、教会が一方的に選んだ異性との結婚を強要されます。現在までに婚姻無効を認めた審判・判決は50件を超えています。

 また刑事事件も多数あります。霊感商法が深刻な被害を生んでいたことから警察は、2007~2010年にかけて有限会社新世をはじめ全国各地にある統一教会傘下の販社に対して、特定商取引法違反、薬事法違反の容疑で次々と摘発を行いました。

 新世事件での2009年の東京地裁判決では、統一教会による物品販売が「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」と断じられています。

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