「昼は不動産マン」歌舞伎町の“二刀流ホスト”に聞く、昼夜のギャップ
ならではの距離感の詰め方がプラスに
一方で、ホストの経験が昼の仕事でプラスに働くこともあった。
「不動産営業もホストもお客様と距離を縮めることが売上に繋がることは共通しています。接待や社内の飲み会など、お酒の席でこそ、真価を発揮しますね。酔っ払った人の、何度聞いたか分からない話でも、初めて聞いたかのようなリアクションをして相手に気持ちよく話させるのが得意でして、同僚や先輩に褒められますね(笑)。
あとは、返信の速度が売上に直結することも同じだと感じています。ホストもそのお客様も、LINEの返信が早いので、マメに連絡を取るくらいじゃ差別化にならないんです。
でも、昼職では取引先の方やお客様に連絡をすると、30分以上返信がないのは普通ですし、下手したら翌日以降に返信が来たりするじゃないですか。そんな時に、素早く簡潔に用件を伝えるようにしていると、それだけでお客様から信頼されて受注に繋がったりもします」
いまだに二刀流を続ける理由
不動産業界は仕事の成果が給与に反映されやすく、会社に所属しながら年収数千万円を稼ぐ人もいる。実際自身も、会社員1本で働いたとしても生活に余裕が出るくらいは稼いでいるそう。
そのような業界で会社員をしているめろんさんが、なぜ二刀流を続けるのかというと、彼の夢でもある、『なりたい社長像』がホストクラブには詰まっていたからだった。
「夜の世界では、オーナーや社長になって表にあまり出てこなくなったとしても、美意識が高い方がすごく多いんですよね。絶対に忙しいはずなのに細部は手を抜かないというか。もちろん全員ではないですが、昼の業界は年齢と共に見た目に気を遣わなくなる方が多い印象です。
僕の将来の夢は不動産会社の社長なのですが、何歳になったとしても美意識の高い社長でいたいです。職場と家の往復だけをしていると、どうしても身だしなみが疎かになりがちなので、美意識を保つために会社に内緒でホストを続けています。人に見られているという意識を大事にしたいんですよね」
いずれは不動産会社を立ち上げ、「夜職の人向けにのセカンドキャリア支援も行いたい」と語っためろんさん。堅実な昼、華やかな夜と両極端の世界を同時進行で経験しているからこそ、唯一無二の橋渡し役になれるかもしれない。
<取材・文/夢見リオン 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>