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「ピザポテト」は“お好み焼き”の転換?カルビーの“神”が語る、ヒット商品の作り方

ビジネス

展示会の後はアウトプットを欠かさなかった

お好み焼きチップス

遠藤氏が最初に手がけた商品「お好み焼きチップス」

――ユニークなアイデアの源泉を教えてください。

遠藤:結構聞かれるんですが、特に変わったことはなくて……。シャワー中や就寝時に突然浮かんだり、なんてことはないんですよ(笑)。ひたすらコツコツと、情報収集を繰り返してきたくらいです。

 昨今ではあらゆる情報が溢れかえっていて、誰しもがそれらに触れる機会が格段に増えています。であるからこそ、情報をいかに結びつけることができるかが重要なのかなと。開発をやっていると、結構手当たり次第に展示会に行ったりしたくもなるものの、行きっ放しでは蓄積にならない。A4用紙1枚であっても、行ったあとは報告書としてまとめることはマストにしてきました。

 ちなみに「九州しょうゆ」は地方シリーズの先駆けの商品でもあるんですが、着想源は北海道で発売していたバター醤油味のポテトチップス。これがヒットしていると耳に入ったときに、九州で愛用されている醤油の甘みがバターの“やみつき感”に通ずるものがあると同時に、地方性を押し出せるのがおもしろいのではないかとチームメンバーと話したんです。

「ピザポテト」も、私のキャリアのスタートとなっている「お好み焼きチップス」の発想を転換したことで誕生しました。ありがたいことに「お好み焼きチップス」も当時は人気商品となっていて、別の切り口で新商品を模索したときに出てきたのが“洋風”のピザでした。バター醤油の少し洋風な味わいから、九州醤油の完全な和風へと変換したときと反対の構図ともいえますね。

「いかに自分の想いをぶつけられるか」が大事

遠藤英三郎

最後は「想い」が重要だと語る遠藤氏

――今では各地の限定品がお土産としても大人気ですね。しかし、こうしたアイデアが浮かんでも、なかなかプレゼンがうまくいかず悩んでいる人も多いかと思います。意見を通すコツはありますか?

遠藤:プレゼンにかけられる時間は、対峙する相手の職位が上がるほどに短くなっていってしまうじゃないですか。そのようなシーンではもう、細かい数字だの背景となるデータだのは、詰め込んだとしてもあまり響かないんです。それよりも、「いかに自分の想いをぶつけられるか」が大事。

「堅あげポテト」のプレゼン時は、「『噛むほどうまい』が、この商品の使命なんです!」と、何度も言った記憶があります。結果、今なお現役のコピーでありコンセプトです。

 ブランド作りといった考え方の延長といいますか、事業としてどのようなビジネスモデルを作っていくのか、それを通していかに社会貢献をしていくのか。そういった大局的な視点が最終的には問われるのだろうなと、最近では思っていますね。けれど、私もまだまだ勉強中です。

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