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ドムドムバーガーのカレー屋がまもなく閉店。どう考えても赤字なのに出店できたワケ

ビジネス

ココイチが唯一の例外になった理由は?

ココイチ

CoCo壱番屋JR秋葉原駅昭和通り口店

 例外は「カレーハウスCoCo壱番屋」(株式会社壱番屋)でしょう。ココイチはカレー専門店と言うより「カレー+カレートッピング店」と言ったほうがよいビジネススタイルです。

 カレーのルーは標準的な味にして価格を抑える。一方、トッピングは価格を高めにし、品揃えを豊富にする。複数のトッピングを組み合わせた注文に誘導することで、客単価を上げ、利益を出しているわけです。

 例えばもっとも安いポークカレーは514円。もっとも高いトッピング「手仕込豚ヒレ勝つ(=カツ)」は482円。合わせて注文すると、客単価は倍近くになります。カレー専門店でありながら、一般的な飲食店と似たビジネススタイルを採用していると言えます。では、カレー屋ドムドムはどうでしょうか?

カレー屋ドムドムは「さらに」儲からない

 ココイチと比べ、カレー屋ドムドムは品揃えが貧弱……どころか1品のみ。「和牛すじ肉カレー」しかありません。よって、客単価は、カレーと同額「680円」(大盛りの場合+150円)で固定されます

「客単価」が固定であれば、「客数」で稼ぐことになります。ところが、席数は「9席」と少なめ。そうなると「回転率」を上げるしかありません。確かに、連日行列ができており回転率は高そう。しかし、営業日は週5日、営業時間は11時半から午後2時半まで。総営業時間が通常の店舗に比べはるかに短い。よって、客数も稼げないのです。

 1人あたり食事時間を20分と仮定すると、1日の客数は81人。

 この客数をベースに、ざっくり計算すると月の売上は100万円程度(※1)。飲食業の一般的な原価率(材料費30% ※2)を用いると、粗利は70万円。対して、もっとも大きいコストとなる家賃が、月70万円程度(銀座ですから)。家賃を払った時点で利益がなくなり、人件費すら捻出できません。

 筆者は、カレー屋ドムドムに2回訪店しています。両日とも開店前に行列ができていましたし、お客さんは食べるとすぐ出ていく、(回転という意味では)理想的な状況でした。それでも赤字になる計算です。商売としては成立しない。営業継続どころか、出店したこと自体があり得ない判断と言えます

 では、なぜカレー屋ドムドムは出店に踏み切れたのか。材料費と家賃がかからなかったからです

※1 売上……1人あたり食事時間を20分、月営業日数20日、客単価680円と仮定

※ 2 材料費……F=food(材料費)とL=Labor(人件費)を合計したものをFLコストという。このFLコストが、売上に占める比率を「FL比率」。適正値は60%程度。内訳は食材と人件費で半々、つまりF(材料費)30%、L(人件費)30%となる

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