カトパンも選んだ2代目社長。有名企業の社長8名に見る、優秀なorダメな2代目の違い
西武グループ:せっかく築いた“帝国”が…
経営手腕は確かでも、欲に負けると一気に地位は落ちてしまいます。父・堤康次郎氏の鉄道会社を引き継いだ堤義明氏プロは野球チーム(西武ライオンズ)、赤坂や軽井沢、札幌に大型プリンスホテルを設立するなど鉄道収益を元に経営の多角化を進めました。
日本の経済成長と共にレジャー収入も拡大し、80年代後半にはフォーブス誌に「世界一の大富豪」として取り上げられます。
バブル崩壊後も会長として君臨し続けましたが、2004年に証券取引法違反を公表されます。義明氏は自身の関連会社を含め上位10社だけで西武鉄道の株を80%以上(上場廃止基準)有していたにも関わらず、上場を維持し続けるために保有株数を過少に申告していました。
加えて、インサイダー取引も重なったことで西武鉄道など数社が上場廃止となりました。せっかく築いた帝国だけに残念な感じですが、現在もJOC(日本オリンピック委員会)の最高顧問を努めるなど、各所に影響力を保持しているようです。
タカタ:1兆円以上の負債を抱える
自動車関連企業はトヨタなど各自動車メーカーの系列に入ることが多いですが、タカタはエアバッグやシートベルトを製造する企業として独立した経営を行っていました。
1933年に高田武三氏が高田工場を創業。2代目社長の重一郎氏のとき社名をタカタに変更し、2007年に高田重久氏が社長になります(ですから重久氏は3代目ですね)。
重久氏を待ち受けていたのは、2017年に発生するエアバッグのリコール問題。これはエアバッグの異常破裂により金属片が飛散する不具合で、なんと世界で1億台以上がリコール対象となり、1兆円以上の負債を抱え経営破綻しました。
急な問題なため、全てが重久氏の責任ではないとも考えられますが、実は2007年ごろから不具合が相次いで起こるなどの前兆はあったようです。また、頻繁に本社を移転(2009、2014、2016年)していますが、経営の中身ではなく外見にこだわる姿勢が表れていると思えてしまいます。
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こうしてみると案外2代目社長は優秀ではないでしょうか。ユニクロのように市場を把握して方針を転換したり、トヨタのように新しい需要をつかんだり、市場に対し、臨機応変に対応することが成功につながるカギなのでしょう。一方で自身の信念に固執したり、過去の過ちから学ばなければ、大きな失敗をしてしまうことがわかります。
<TEXT/経済ライター 山口伸>