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東京電力HDはどんな会社?原発事故から黒字転換、社員の平均年収は

ビジネス

有価証券報告書・報道などから現場を予測

 では、現場の雰囲気や働きやすさはどのようになっているのでしょうか。有価証券報告書・公式サイトの情報などからその姿に迫ります。

 まず、有価証券報告書では、従業員数が連結で3万7892人、提出会社(東京電力HD)のみで8291人となっています。公表されている平均年収は提出会社の分のみであり、812万円でした

 東京電力HDの社員数は連結の2割程度で、この値が全体の値とは言えませんが、総じて給与水準は高いと推察されます。また、福利厚生についても、フレックスタイムや在宅勤務・社宅・企業内保育所などがそろっており、従業員の働きやすさは担保されていました。

 つづいて、主だった判例を見ていきます。今回は主に「福島第一原子力発電所事故」について触れていきます。なお、本件については詳細に立ち入ると本が数冊書ける状況であるため、時系列での整理としていきます。

「福島第一原子力発電所事故」のその後

東京電力

2020年10月、田村厚生労働大臣が福島第一を視察(※厚労省HPより)

 まず、東電の経営改革については「特別事業計画」に基づいて行われています。この計画の変更は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法第46条第1項の規定により、主務大臣の認定を受ける必要があります。したがって、東電の独断ではなく、国の認定を受けながら推進されています。

 直近で2020年4月24日に「原子力損害賠償に万全を期すため『要賠償額の見通し』に係る項目」を中心に変更しています。また、本件の賠償額の推移については「新々・総合特別事業計画(抄)(第三次計画)」内の図表にあうよう、金額が増えることはあっても、減ることはないです。

東京電力

図:賠償支払額・要賠償額の推移(新々・総合特別事業計画(抄)より引用)

 賠償関連のプレスリリースも公式サイトでまとめられており、事故後10年弱が経過しても、毎月、賠償関連の発表があります。判決としては、仙台高等裁判所・福島地方裁判所で行われたものが原文ともに公開されていました。

 判決本文は500ページ超のボリュームですが、元住民による原状回復(除染)および損害賠償請求に対し、原状回復請求は却下し、国と東電の賠償責任を一部認めたものです。また、東電の旧経営陣3人が「強制起訴」により業務上過失致死傷罪に問われた件は、2019年に無罪判決となっています。

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