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“Youtuber養成校”に希望者が殺到、バンタン会長が語る55年の軌跡

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転機は19年前にゲームスクールを作ったこと

バンタン

バンタンゲームアカデミーでの授業の様子

 面白いのは、確実にニーズがあるニッチな分野でスクールを展開している点だが、ターニングポイントはあったのか。

「私も創立に関わった1991年開校のバンタン電脳情報学院(現在のバンタンゲームアカデミー)です。私はIT系のベンチャー企業を経て、1985年に当社に中途入社しましたが、ちょうどその頃に創業者の菊池が『ファッションだけでなく、新しいスクールを作りたい』と考えはじめ、私が『ITとデザインの技術が必要なゲーム分野が面白いのではないか』と提案したことがきっかけでした。

 当時はゲーム=オタクのイメージだったので、社内では『そんなスクールを作ったら、“ファッションのバンタン”というイメージが崩れるからダメだ』という声が強かったのですが、『いいじゃないか。時代は変わっていくのだから、新しいものを取り入れよう」という菊池の鶴の一声で決まった経緯がありました。

 その後、バンタン製菓学院(現在のレコールバンタン)、バンタン映画映像学院(現在のバンタンデザイン研究所 映像デザイン学部)なども創立されました。菊池にはデザインと同じように、まだ認知度の低い分野で新たな可能性となる人材を送り出したいという、常に社会を意識した先見の明があったんです」

「学校法人」にはさまざまな制約が

 いずれも専門教育を行うスクールですが、なぜ学校法人ではなく、企業法人なのか。

「我々は『世界で一番、社会に近いスクール』を掲げていますが、そのためには学校法人では制約があるからです。バンタンの強みは、100%プロ講師による時代にスピーディーに敏感に対応した実践教育です。

 学校法人としての登記も可能ですが、そうするとカリキュラムの変更や新設コースの申請をするたびに文部科学省の許可を何年も待たなければなりません。それではビジネスチャンスや新たな人材のニーズが生まれている時に対応できず、大きなロスになってしまいます。

 また、当社のスクール全体で約600人の講師がいますが、それぞれの分野で現役で活躍しているスペシャリストばかりです。しかし、学校法人だと講師の半数以上が教員免許を持っている常勤講師でなければならない縛りがあります。

 リタイアした人が講師を務めることも多いようですが、10年以上前に活躍していた人では実践教育になりませんよね。100%プロ講師にこだわるためにも学校法人ではないほうがいいんです」

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