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コロナ禍のドイツで転職に挑戦した日本人エンジニア「面接は散歩しながらでした」

ビジネス

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で広がっている。各国政府が対策に追われるなか、日本でも特別定額給付金や休業補償といった具体的な補償や対策が遅まきながら始まった。とはいえ、いまだに「コロナの影響で働けない」「生活できない」という人の不満の声も耳にする。

エンジニア 女性 パソコン

※イメージです

 一方、海外ではより広範囲かつ手厚い補償が行われている。なかでもドイツは新型コロナで仕事ができなくなったアーティスト、芸術家に対し、1人あたり60万円の助成金が配布され、日本でも話題になった。文化相がアーティストを「いま生命維持に必要不可欠な存在」と語るなど、困難を共に乗り越えようという強いメッセージが感じられる。

ドイツで働く日本人エンジニアの声

 今回、そんなドイツで働く日本人女性に話を聞いた。取材に応じてくれたのは都内大学大学院を卒業後、外資系コンサル勤務を経て、現在はドイツでUXエンジニアとして働くAさん(女性・30歳)。彼女が住んでいるのはドイツの首都ベルリンの西側の閑静な住宅地だ(※取材は4月28日実施)。

「ベルリン市内には森がたくさんあり、私が住んでいる場所からも森や湖が歩いていける距離にあります。今は新型コロナ対策として不特定多数との接触禁止が求められているため、ビジネス街や商業施設がある中心部には人があまりおらず、私が住んでいるような郊外に、みなさんとどまっていますね」

 ドイツでは3月22日、アウトブレイク(大流行)を抑えるため3人以上の集会を禁止(罰則の有無や程度は州により異なる)。4月27日には地下鉄などの公共交通機関、スーパーの利用時にマスクの着用を義務化する法律を定めた。ただ、「ガチガチな規則ではないため、市民の間に危機感が物凄くあるわけではない」と、Aさん。

「リモートワークができる人は在宅勤務していますが、できない人は普通に働きに行っています。私もリモートワークで仕事をしています。大勢での散歩は禁止されていますが、天気の良い日は、公園をジョギングしたり、親子で遊んだりしている人もいます」

政府の政策に市民はおおむね好意的

ドイツ

ドイツの街並み。人影はまばらだ(Aさん撮影)

 Aさんも、いまは気分転換や運動不足解消のため毎日散歩をしているという。また、混雑時を避けて、スーパーに買い物にも出かけるそうだ。

「スーパーは普通にレジに並ぶことがあります。入店時に人数制限があり、ソーシャルディスタンスを取ることを徹底しなくてはいけないからです。私も一度自転車を買いに行ったときに1時間くらい待ちました。いま電車移動も普通にできますが、乗りたくない人が多いので、ベルリン市内では自転車の需要が増えているんです」

 ドイツでは生活必需品を売るスーパーなどは営業が認められている一方で、飲食店や美容院やマッサージは営業停止。と、明確な基準や法的根拠をもって感染防止策が講じられている。そのため政府の政策に対し、市民はおおむね好意的な反応だ。

「アーティストへの補償金も、募集開始直後にアクセス過多でサーバーダウンこそしましたが、2日後に復活。こういうときに補償がもらえるのは有り難いですよね」

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