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【中川淳一郎】新社会人のためのメール作法。相手に「バカか、コイツ」と思われない

ビジネス

「気心知れた相手」に催促するには

 さて、ここでは具体的な私のメールをベースにメールの作法を紹介する。逆説的な話になってくるが、メールというものは、送り手と受け手の信頼関係及び、良好な人間関係があってこそ心地よいやり取りとなる。これは【気心知れた相手への催促】というものだ。

 ウェブメディア「JASON RODMAN」の編集者とは「社畜相談室」という悩み相談の連載をやっている。締切の1週間前に「社畜の悩み」が送られてきて私が答えるのだが、この時はまったく来なかった。さすがに2日前には欲しいため、せっつくためのメールだ。

メール

気心知れた相手への催促メールの文面

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◯◯さん

おつかれさまです。
お元気ですか!

次の社畜、ネタ何にしましょうか!

いやぁ、すさまじい時代ですなガハハハ。

中川
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 これについては、ネタがないと書けないため、催促せざるを得なかった。関係性としては「13年ほど何かと一緒に仕事をしてきた盟友」的な人だが、昨年12月から会っていないのと新型コロナの影響で最近は会えない、という状態だ。

 まずは「お元気ですか!」と彼の現状を気遣っている様を見せ、いきなり「ネタ何にしましょうか!」と勢いよく言う。ここで「!」と入れるのがなかなか効果的である。ついつい、真面目な男・山田君だとこう書いてしまう。

真面目な男・山田君のメールだと…

「そろそろネタをお送りいただかなくては原稿を書くことができません。本来は1週間前にいただけると存じておりましたが、まだ届いておりません。至急ネタをお送りくださいませ。行き違いがありましたら失礼いたします」

 すべてが「言い方」ってものなのだ。もちろんこの真面目な山田君が言ってることは正論なのだが、「オレは悪くない」「ネタを送らないお前が悪い」「さっさと送れ、ボケ」を言いつつも、最後に「行き違い」云々を述べて相手を立てようとしている。

 基本的に仕事というものは「怒られないため」にやるものである。上司もCCで入れたりしているため、自己保身に走るようなメールをつい書いてしまう。山田君のメールは先方が相手というわけではなく、あくまでも上司への「仕事してますアピール」でしかない。

 こんな文面を読んだ先方は「忘れていたんだよ、ゴメンゴメン、明確にオレが悪い。でも、そんなに追い詰めないでくれよ~! と思っている。こんなことはよくあるわけで、私の場合は相手を催促する立場であったとしても、「ネタ何にしましょうか!」とあくまでも「仲間への快活なお伺い」という体を取る。

 すると、さすがに送ってないことに後ろめたさを感じるのか、すぐに返事は来るし、実際に納品した場合は「時間がなかったのにありがたい……」と思ってもらえる。

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